虹標本

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虹標本はカフェのワークショップで行っている液晶です。

 

 

以前の記事を「きらら舎の夏期講習(夏休みの自由研究)」用にリライトしました。

キットをご購入された方は、以下を参考にしてまとめてみてください。

(自由研究以外での文章や写真の無断転載は禁止します)

 

【液晶の材料】

材料のヒドロキシプロピルセルロースは食品添加物(増粘剤)や医薬品錠剤の結合剤やコーティング剤、角膜保護剤や潤滑剤としても用いられるように安全なものです。

 

 

【液晶とは】

物質の状態は、固体、液体、気体という3つの状態に分けられ、物質の三態とか、物質の三相とよばれています。

 

固体

固体はイオン、原子、分子などの粒子が密に詰まっていて、粒子間に働く力は強く、粒子が振動する以外は自由に動けない状態です。そのため、固体は安定で、定まった形と体積を持ちます。

固体の中でも粒子が一定の三次元構造をとって配列している、つまり規則正しく並んでいるものを結晶といいます。

固体であっても粒子の並び方に秩序がない、ガラスやオパールなどを非晶質といいます。

 

液体

固体が融点以上まで加熱されると、液体に変化します。分子間の力はありますが、分子は互いに影響しあったまま動くことができます。

そのため、液体の形は一定ではなく容器に応じて変わります。

体積は通常は固体状態よりも大きいのですが、水とビスマスは液体が固まって固体になると体積が増えます。

 

気体

気体中の分子は高いエネルギーを持ち、分子間に働く力の影響は小さいので、分子はそれぞれ遠く離れて高速で移動することができます。

気体は定まった形や体積を持たず、容器に応じて変わります。

 

以上、基本の三態の中で、固体の結晶と、液体の中間の層が液晶です。

つまり、液晶は液体と固体の中間の性質を持ちます。

分子は液体のように流動しますが、全ての方向が揃っていて自由な回転ができない状態です。

液晶にはいくつかの種類があります。今回使うヒドロキシプロピルセルロースは以前はコレステリック液晶と呼ばれていました。現在ではコレステリック液晶はネマチック液晶に含まれるものとされています。

 

*ちょっと難しいかもしれませんが、液晶の歴史を調べてみるのも楽しいです。現在、液晶はテレビやパソコン、スマホなどになくてはならないものです。これがどうやって生まれたのかも調べてみてください。

 

 

【液晶を作る】

2024に新しく書いた記事はこちら  >>虹標本 2

 

 

虹標本キット/きらら舎

 

ヒドロキシプロピルセルロースは最初は白い粉です。

1袋(4g)に、夏ならば2.2ml、冬ならば2.4mlの水を入れてよくなじませます。

最初はダマになったりすることがありますが、できるだけ1つにまとめ、ダマの部分の周りを水になじんだ部分が取り囲んでいるような状態にします。

1日たてばダマはほとんどなくなります。

虹色はすぐに出てきますが、数日間、毎日数回、もんで混ぜるようにします。

必ず密封した状態で乾燥させないように注意します。

やがて、空気が抜けて、メタリックカラーになります。

 

 

液晶/きらら舎

液晶/きらら舎

液晶/きらら舎

完成したら、袋の角を少しだけ三角に切り落として、ビンや容器に詰めてください。

粘度が高いので入口が細い容器だと滞留してしまいますが、そのまましばらくおいておくと重力で下がっていきます。

乾燥しないように注意しながら丁寧に詰めてください。

 

虹標本/きらら舎

 

 

 

【虹色に見える理由】

分子はある程度自由に動ける状態(液体に近い)ですが、その方向だけは決まっています。きれいに並んだ分子は、次の層では少し角度がずれています。その次の層ではさらに少しずれています。

こうして少しづつずれていくうちに、360度ずれて一番最初の層に重なります。

この厚みを螺旋ピッチといいます。

簡単に言えばこの厚みと同じ波長の光を跳ね返しているのです。

螺旋ピッチは温度によって変化します。温度が高いと厚くなり、長い波長の光を跳ね返します(暖色系に見える)。

温度が低いと薄くなり、短い波長の光を跳ね返します(寒色系に見える)。

また、水分が多いと厚くなり、少ないと薄くなります。

 

 

【光を観察する】

  1. 黒い紙の上に置いて色を観察しましょう。光はできるだけ自然光がよいです(すべての波長の光を含んでいるため)。
  2. 次に透過の色を観察しましょう。明るい方向(窓や電燈)に翳してみましょう。さきほどの色と反対の色(つまり跳ね返した波長の光ではなく、透過してきた波長の光)が見えます。
  3. ブラックライトをあててみましょう。

 

 

 

【温度による実験】

カップに60度くらいにあたためたお湯を入れ、これに液晶の入った容器を浸します(容器の耐熱温度を確認してください)

入れる前の色と比較しましょう。

液晶は50度で虹色を呈さなくなります(白濁します)。冷めれば元に戻ります。

次に氷水に浸してみましょう。待てない方は急冷スプレーなどを吹きかけてもよいです。

色の変化を観察しましょう。

 

【液晶の管理】

虹色は寒くなるとだんだん紫色だけ、さらには透明になってしまうかもしれません。温めれば色は戻りますが、通常の気温でも色を出したい場合は、お弁当に使うピックなどを水に濡らしながら突き、少し水分を補給してみてください。
透明になってしまっている場合はスポイトで1滴水を垂らした後、濡らしたピックで混ぜると色が戻ります。

 


 

販売から1年以内であればカフェにご持参くだされば調節いたします。
ただし、キャップのゆるみなどから乾燥して固まってしまっている場合には復活は無理です。

 

 

>>ご注文(きらら舎二号館)

>>きらら舎BASE店(キット)

>>きらら舎BASE店(完成品びん入)

 

 

キットは1袋で付属にびん2つ分あります。2袋目の液晶はお好きな容器を探してみてください。

また、完成品のびんのキャップとキットのキャップのサイズは同じです。

虹標本/きらら舎

虹標本/きらら舎

 

 

 

 

 

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