ウニの受精・発生・飼育を夏休みの自由研究にしたい方へ

No Comments

 

2019年は海水温度が例年より高いにも関わらず、バフンウニのシーズンが始まるのが遅かったようです。

ウニはいつでも実験できるのかといえばそうではなく、バフンウニは12月下旬から4月上旬が例年のシーズンで、それ以外では卵・精子を持たないので、実験ができません(普段、わたしたちが食べているのは生殖器で、シーズンでないとそこに卵や精子はありません)。

 

夏にはムラサキウニでも実験を行いますが、バフンウニのほうが簡単で、ウニに変態した後の飼育も楽なので、きらら舎(cafeSAYA)でのウニの発生実験のメインはバフンウニです。

そのため、夏休みの宿題に使う場合でも、今から始める必要があります。

(ムラサキウニの場合はシーズンが始まってから採集・実験をすると、ウニに変態するのは夏休みが終わってから・・・ということもありますので、やはりバフンウニがお勧めです。夏のスケジュールはこのページ末をご参照ください。)

 

今年は2月23日(土)に、今年最初のウニの発生実験を行いました。

2回目は4月7日(日)に行いました(今年はこれでバフンウニは終了です)。

 

 

ワークショップでは 各テーブルで1~2個づつのウニの口器(アリストテレスのランタン)を取り、放精・放卵を行いました。
2回目のワークショップではさらにたくさんのウニで実験を行いました(時期的に卵・精子をもっていない個体がある可能性が高かったため)。

 

これをモバイル顕微鏡にて観察しました。

500倍のモバイル顕微鏡で精子の動く様子を動画撮影したり、未授精卵と精子の写真を撮影しました。

 

 

その後、スマホ顕微鏡にセットしたシャーレの上で各自受精させ、受精膜があがる様子を観察しました。

 

お客さまの手元を撮影させていただきました。
卵に精子が群がっているのがよくわかります。受精膜の周りでたくさんの精子がうごめいている様子は微妙ですが、動画で撮影している方も多かったです。

 

 

精子が入ったとこから受精膜が上がります。

 

 

配布用のウニの受精時刻は4月7日午後6時20分でしたので

1時間30分後(午後8時少し前)・・・・・2細胞
2時間10分(午後8時半)・・・・・4細胞
2時間50分(午後9時少し過ぎ)・・・・・8細胞
3時間30分(午後10時少し前)・・・・・16細胞
12時間(午前6時20分)・・・・・ふ化(胞胚となり、胞胚が受精膜をやぶって泳ぎだす)
20~24時間(8日月曜日の午後2時半から7時くらい)・・・・・原腸胚
36時間(火曜日の早朝7時くらい)・・・・・プリズム幼生
48時間以降(火曜日の午後6時半から7時くらい)・・・・・プルテウス幼生

 

御茶ノ水女子大のマニュアルだと18度で上記のように発生が進むようです。

温度が高いとこれよりも早く進みます。また、個体差もあります。

 

 

 

お持ち帰りいただいたものはポケット飼育となります(インターネットでポケット飼育と検索すればヒットします)。

ポケット飼育といっても常に持ち歩く必要はなく、一日に数回、ゆっくり撹拌する(容器を揺らす)程度で十分です。

普段は平たく置いておいてください(どうしても液漏れする場合は立てておいてもよいですが、きつく締めると密封するはずです。漏れる場合は一旦フタをはずしてから締め直してみてください。)。

 

 

 

適正温度は15℃~25℃。温度が低めであれば成長がゆっくりで、温度が高めだと早く進みます。高すぎると死んでしまいます。

 

卵割がどんどん進んで原腸が貫入してきました。
下から伸びているのが原腸。下の部分が原口でやがて肛門になります。

原腸が伸びてプリズム幼生となり、原腸が伸びた先に口ができます。

 

 

プルテウスになったらエサをやってください。上の写真は腕が伸びてきているところ、ほぼ4腕プルテウス。

 

4月7日に受精させたウニは、本日4月10日朝にはほぼ4腕プルテウスになっていました。

 

 

【餌やり】

エサ(キートセラス)やりは2~3日に1回、付属のスポイトで3~5滴、飼育容器に垂らしてゆっくり撹拌(容器を揺らす)します。顕微鏡でプルテウスの胃に茶褐色が確認できれば OK です。

お渡ししたキートセラスは冷蔵庫で保管し、与える時によく振ってからスポイトにとって少し室温に合わせます。

賞味期限は約2週間なので、4月18日頃にもう1びんを郵送いたします(ポスト投函です)。

 

【水換え】

プルテウスの海水換えは3日に1回半量交換が目安です。

最初の1~2回は、別の飼育容器を用意して倍希釈しても今度安定した密度で飼育ができます。

 

水換えは、容器の口に入るくらいの筒(タピオカストローや、DIYショップで売っている塩ビパイプなど)の先にプランクトンネットやキムワイプなどをくっ付けて、静かに容器に沈めます。筒内に上がってきた水を大きなスポイトで吸い取り捨てます。

容器の半分くらいの水を捨てたら、予め用意しておいた海水を注ぎ入れます。

海水はご購入された海水の素に記載してあるとおりに作ってください。

作ってすぐのものではなく、一晩おいて、何度かシェイクしたものを使います。

本当はバブリングしてから使うのがよいのですが、量も少ないので、ペットボトルに作ってこれを何度か振ればOKです。

 

きらら舎で採用している培養フラスコの場合は、ブラインシュリンプ濃し器を通して飼育水を半量捨て、濃し器より1周り大きなきれいな容器に濃し器を逆さまにして捨てた分のきれいな海水を注ぎ、濃し器に付着したプルテウスを洗い落とし、その水を容器に戻します。

または、飼育容器の口にキムワイプなどを括り付け、海水を捨て、キムワイプをの裏表を逆にして、付着したプルテウスが中に戻れるようにしてから、容器の口よりきれいな海水を注ぎます。

 

 

ウニの受精卵は約2日で4腕プルテウス幼生となり、6腕、8腕と腕の数が増えて成長し、20度以上を保てれば約5週間でウニに変態します。

多少寒くても成長が遅くなるだけなので、問題ありません。

ただし10以下にならないようにしてください。25度を超さないようにしてください。

 

プルテウスは4腕、6腕と腕の数が増えていきます。

8腕になると三角形だった体がだんだんと丸味を帯びてきます。

餌を与えると体の真ん中にある胃腔が茶色になります(丸い部分)。

やがて原基が形成されて、それが胃より大きくなり、体がさらに丸くなり、モバイル顕微鏡で観察した時に内部に管足や棘のようなものが見えたら、変態誘導を開始します。

 

この時期になったら容器の外側からでもルーペで形の変化がわかりますので、目視でパスツールピペットで浅い容器に海水を入れて、そこに移します。

カフェへご予約の上、ご持参いただければ、カフェにて行うことができます。

パスツールピペットも無料でお貸しいたします。変態誘導キット3個セットは別途¥1000かかります。

 

 

また、実験で使ったウニ殻をもって帰った方は骨格標本を作ってください。

作り方は説明しましたが、『鉱物テラリウム・レシピ』にも記載しましたので、そちらをご覧ください。

 

Categories: ワークショップ