今年の活動テーマは幻想博物学、ハラルト・シュテュンプケ(Harald Stümpke)の『鼻行類』やレオ・レーニ(Leo Lionni)の『平行植物』が作り出す世界が好きで、きらら舎を始めた時には、鉱物標本に妄想エピソードを付けたり、蜂妖精の繭殻や古代ボルボックスの化石などのオブジェを作ったりしていましたが、今年はがっつりこのテーマで遊ぶことにしました。
レオ・レオーニの平行植物は「時空のあわいに棲み、われらの知覚を退ける植物群」と定義されますが、きらら舎の紹介する幻想博物学で取り上げる鉱物化した植物は、我々の住む時空とは別の時空世界に棲息しながらも、その歪が交わる地点にて採集されるもの。
・・・・・ステルクララのエピソードを拡張して展開していきたいと思います。
左から、
p001 青い螢石化した実
ステルクララの森ではいたるところに時空が歪んでいる地点があり(そもそもステルクララ自体が時空のあわいに存在しているのですが)、その歪みによって長い波長のスペクトルだけを吸収してしまう場所では、周囲は常にトワイライトブルーに輝いています。
そこでは植物の鉱物化が起こりやすく、丸い実が等軸晶系の形に変化します。
今日は早朝、ここで青い実を採集することに成功しました。
(鉱物データ:ビンガム産蛍石八面体劈開片・真鍮)
p002 蜜色水晶化した実
たくさんの蜜を蓄えた蔓性植物の実。通常は透明でその形を確認することはできないのですが、よく晴れた冬の夕刻に、蜜の甘い香りを頼りに見当をつけて目を凝らしていると、日没直前に鉱物化が起こっている実だけ、その輪郭を捉えることができます。輪郭が見えた瞬間、すぐさま蔓から切り離すと、ゆっくりと可視化されていきます。
(鉱物データ:ブラジル産水晶・真鍮)
p003 水色螢石化した実
森の中にはいくつかの湖や泉、池などが存在します。
そこには何種類かの水中植物が繁茂しています。
蛍池と呼ばれる小さな池の位置が、ちょうど時空の歪となっているのでしょう。
ここでは鉱物化した実が採集できます。
小さな実のうちは透明で両錘形をしていたり、赤い八面体をしているのですが、成熟すると池の色と同化した水の色となります。
形も様々ですが、割っていくと八面体になることがわかっています。
(鉱物データ:中国福建省産蛍石、ミャンマー産スピネル、パキスタン産両錘水晶・真鍮)
p004 蛍石化した螢星葛の実
001の青い実と近種。螢星葛と呼ばれるこれらの植物の実は、冬の朝に多く見つけることができ、そのまま夏まで保存が効きます。
炭酸水に入れるとゼリー状になり、美味だそうです。
(鉱物データ:中国産蛍石・真鍮)
植物名、データは博物ふぇすまでに図鑑にまとめます。
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