培養しているものの中にゾウリムシがいます。
メダカの稚魚の餌でもあります。
以前、テレビ番組からゾウリムシのイラストを依頼されました。
作っていたスタンプの画像を見ての依頼だったので、描き直して送った記憶があります。
スタンプの画像はこれ。
スタンプ用なので荒いですが、1センチ角のスタンプになると可愛いのです♪
その名のとおり、草履のような形をしていて、表面に鞭毛を持ち素早く水中を移動しています。
最近は生物系の理科室カフェを開催しても多くの方が参加してくれるようになりました。しかし、一番最初にゾウリムシの観察会をした時には、常設展示をしていたモニター付き顕微鏡のモニターをのぞいたお客さまが、「うへぇ」と言って眉をひそめるだけ。
理科室カフェには誰も参加されませんでした。
その後、カフェにて無料配布した際に、ゾウリムシを引き取った方はすべてメダカの餌用でした。
こんなゾウリムシでも人生をかけて研究した方がいます。
石巻専修大学理工学部教授の樋渡宏一先生。
わたしの小学校1~2年の担任の先生の専攻がもとは理科だったこともあって、理科の授業が一番好きでした。そして、小学校を卒業するまでに図書室にあった理科系の蔵書をすべて読破しました。
しかし、理科系には進まなかったため、逆に理科系の博士の著書をよく読むことになったのだと思います。
わたしが一番最初に手にしたゾウリムシの本が「ゾウリムシの遺伝学」(1999年 東北大学出版会)というもの。
前述の樋渡先生の著書です。
単細胞で、みな同じように見えるゾウリムシ。
しかし、性があるのです。
性というとオス・メスの2種類と思いがちですが、ゾウリムシにはこれがたくさんある!
通常は無性生殖で増殖するゾウリムシ。観察中に分裂するところを見ることがあります。
しかし、「接合」といって個体間で遺伝子を交換する現象もあり、2つの互いに引き合う接合型を性とみなし、樋渡先生の著書の中では16種類がみつかったとあります。
「ゾウリムシは接合後、約50回細胞分裂しないと次の接合ができない。また接合させないでおくと、六百数十回ほどの分裂で、老化して死んでしまう。このことから「ゾウリムシは接合によって若返る」と言えそうだが、じつは「接合しないと年をとって死ぬ」が正しい。年をとってからだと、若返るどころか接合することで死んでしまうからだ。」
多細胞生物では、さまざまに分化した細胞のゲノムに分散してしまっているので解明が困難なことも、性、老化、進化の問題の鍵が、ゾウリムシでは一つの細胞の中での完結したゲノムのアクティビティの中に求められるのです。
わたしは研究者でもなく単なる趣味で微生物を培養していますが、そうした本にあったことを思いだしながら顕微鏡をのぞくのが好きです。
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