プラナリア(ウズムシ)
過去の記事をリライトしています。
プラナリアは英名です。日本語の名前は、ウズムシ。
扁形動物門ウズムシ綱ウズムシ目ウズムシ亜目に属する動物の総称です。
英名のPlanariaは「平たい面」を意味するラテン語planariusに由来します。
実際に観察していて、プラナリアがUターンする時、本当に薄い体なので驚きます。
ペラッペラです。
モバイル顕微鏡・・・・・つまり、タブレットのフロントカメラで撮影しました。
上の写真が背中側なら、これは腹側です。
裏からも目が見えるのは、体が薄くて透けて見えているから・・・・・・だと思います。
中央をジグザグと走る暗色の構造・・・これは三岐腸(さんきちょう)と呼ばれるプラナリア特有の分岐した腸管。ペラッペラなので透けて見えているというわけ。
消化管が体の中央部に沿って波打っているように見えるのが特徴。
プラナリアは口と肛門が同じ(肛門がない)という体のつくりをしていて、口は体の腹側・中央あたりにあります。餌を食べる時にはそこから細長い咽頭と呼ばれるパイプみたいな口をのばして吸い込みます。
今、実験前の絶食中なのであまりよくわかりませんが、食べ物によってもっとよく観察することができます。血管がないので、腸は全身をめぐっていて、腸で全身に栄養を送っています。
目みたいな黒い点は「眼点」だけど、視力はなく明暗を感じる程度・・・でもこれがキョロっとしていてかわいいw。
雌雄同体ですが、基本は無性生殖(分裂や再生)で増えます。
水質に敏感で、綺麗な水が好き。カフェの実験のときは精製水を使います。ご自宅ではカルキを抜いた水を使用しましょう。
【飼育】
飼育温度は15~20℃が適切。
夏は水をはった発泡スチロール箱に飼育容器を沈めるとよいでしょう。
空調の効いた部屋で、さらに小さな保冷剤を用意しておいてそれを入れて調節するとなおよいです。
お父さんがワインセラーを持っていたら、こっそり隅っこに入れておくとちょうどいいかも(笑)
餌はアカムシ。冷凍のものが売られているので、それをペットボトルのキャップなどに入れて水を入れ、解凍してから与えます。
ササミなども食べますが、水質が悪化しやすいので餌を与えたら2時間以内に食べ残しを除去してください。
さらに毎日、スポイトでゴミを除去して1/3くらいの水を交換します。
使う水の量は少ないので、300mlくらいのミネラルウォーターを数回にわたって使うのがいいです。
プラナリアは代謝が低く、少しの餌で十分に生きられるので週1~2回の給餌でも十分です。
【カフェで実験】2025年6月7日17:00
実験用にはプラナリア5体と飼育容器、実験用スライドグラス、メス付。
実験予定日の10日前から絶食させてあります。そうしないと、プラナリアの消化液は強力なので、切断によって流れ出た自分の消化液で自分自身が溶けちゃうのです。
自分でやってみる場合、絶食は7~10日くらいがベストです。
さて、いよいよ、実験!
スライドグラスを冷凍庫で十分に冷やしておきます。
冷凍庫から取り出して、プラナリアを少量の水と共にスポイトで吸い取ってこの上に置きます。
理科の授業などでは3等分します。
頭、腹、尾です。
頭からはその下が再生し、腹からは頭と尾が再生し、尾からはその上が再生します。
咽頭と目の前にあたる部分からは、それらが万能細胞を持たないため再生しないそうです。気を付けましょう。
頭に切れ込みを入れて2等分にすれば、2つの頭を持つプラナリアが、3等分すれば3つの頭を持つプラナリアができるという報告もあります。
きらら舎で飼育しているナミウズムシは再生能力が高く100に切って100再生したという逸話も残っている種類です。
十分に冷やしたのですが、結構動きます。
ずらすのに、メスを使ったら、さらに傷つけてしまったようです・・・移動は爪楊枝を使いましょう(^^;
頭部分に縦に切り込み入れてみました。
実験後は5日~1週間くらい、餌を与えないようにしましょう。
傷口がふさがらないと消化液が漏れて自分を溶かしてしまいます。
【観察】
1日後(正確には19時間後)

頭部

真ん中

尻尾部
分裂による無性生殖で殖えていくだけではなく、有性生殖もします。
雌雄同体なので理論上は2匹いれば有性生殖もできるということになります。
なんとかして卵と、そこから孵ったものを見てみたいとネマトステラを預かっている星先生から資料をいただいたのですが、有性生殖メインのイズミオオウズムシを食べさせることで有性生殖するようになるというものでした。イズミオオウズムシが入手できない以上、これは難しい。
あとは、できる限り低温をキープしながら有性生殖を待つしかないのかもしれません。
有性生殖のトリガーは、今後も探してみたいと思います。