【キタムラサキウニ】
棘皮動物門
ウニ綱
ホンウニ目
オオバフンウニ科
オオバフンウニ属
学名:Strongylocentrotus nudus (A. Agassiz, 1863)
見た目はムラサキウニにそっくりですが、バフンウニに近いウニです。
ウニは食材としての旬と、繁殖時期が若干ずれている上に、地域差も大きく、さらに年によってとれる量も変わります。そのため、実験日に合わせて生きたウニを調達するということが一番大変になります。
お茶大からは、工面されて用意したウニから卵(らん)と精子を採取して、それを送ってきます。
この卵と精子を観察して、受精させます。
顕微鏡・モバイル顕微鏡をご持参された方は自分の顕微鏡で受精ができます(※1)
※1 付属していたシャーレなどもお持ちください(ない場合は1つからご購入可能です)。モバイル顕微鏡以外の顕微鏡の場合は、スライドガラスなども忘れずにご持参ください。
参加の方法
- サポート用の FaceBookグループ(海★UN Iプロジェクトサポート部)にご参加ください
- グループページでご案内する、お茶大のリモート説明に参加(録画視聴も可)してください
- きらら舎で行う実験日にご予約ください
- または受精直後に受精卵を送りますので参加申し込みから受精卵送付を選択してください
当日
- テキストを配布します(予めダウンロードできるようにしています)
- 精子を観察します
- 未受精卵を観察します
- 媒性
- 受精を観察します
- 卵割を観察します
途中で、卵に精子到達から受精、卵割、孵化までのお話を図で説明します。
予め受精させておいたプルテウスや変態直後の稚ウニなどを観察します。
飼育・観察の仕方を聞いて、別途受精させた受精卵を持って帰ります。
送付の方へは当日中に送ります。届き次第、観察を開始してください(以下の「ご自宅で」をご参照ください)

精子

精子が入ったところから受精膜が上がる

全体にきれいに受精膜が上がった
ご自宅で
- 受精卵をシャーレにとって卵割を観察します。
- 特に16細胞期の不等割の観察にチャレンジしてみてください。
- 胞胚期、受精膜の中で胚がくるくる回転を始めます(鞭毛が生えた)。やがて受精膜を破って外に泳ぎだします(孵化)
- 恐らくは翌日に孵化して水面近くに集まっている胞胚をみつけることになるでしょう。水面近くにいるのは元気なもので、下に沈んでいるのは受精がきちんと発生しなかったもの(生きていない)なので、スポイトで上にいるものだけを別の容器に移し、海水を足し、そちらを飼育していきます。
- 胞胚はやがて、おにぎりみたいな形になり、下の部分(植物極)側が凹んできます(原腸貫入)。この凹んだ部分がやがて肛門になります。
- 貫入した腸は伸び、やがて反対側(動物極)に到達して口になります。
- 体はもっと三角形になります(プリズム幼生)。
- この形になったら餌を与えます。

4腕プルテウス
上の個体は餌を食べている
下の個体は餌を食べていない
今回、初めての方が多かったので濃縮されたキートセラス(餌)をお渡ししています。お渡しした容器に毎日なら2~3滴。2日に一度なら5滴ほど入れてください。
キートセラスは冷蔵庫で保管し、一日一回以上、軽く振って均一の濃さになっているようにしてください(沈殿しっぱなしにしない)。
キートセラスの培養はめんどうなのと、きちんと培養できていないものを与えることでウニが全滅すると残念なので、お申し出いただいた方にのみ必要なものをお渡ししました。
餌の量
餌の量は前述しましたが、生き残っているプルテウスの数にも水量にもよりますので、観察した時に、プルテウスの体の真ん中にある丸い胃腔がキートセラスの色になっていることを確認するようにしてください。
餌が少ない場合は、腕から骨が飛び出します。そういう個体がいた場合は餌の量を増やしてください。
逆に水がキートセラスの色になるようであれば、多すぎです(うっすら茶色かな?というくらいはOK)。
水換え
希釈することで換水に代えていきます。成長に伴い、密度を低くしなければならないので、これも兼ねています。
4腕プルテウスになった時点で2倍
6腕プルテウスになった時点で2~3倍
8腕プルテウスになった時点で2~3倍
に、同じ比重(濃さ)・温度の海水で希釈してください。希釈は容器の数を増やしても容器のサイズを大きくしてもかまいません。
飼育水の水深は広いほうがうまくいきます。培養フラスコは立てた時に肩の線までの水量にして横にして置きます。
水量に対する適正幼生数
4腕プルテウスまで5000個/10ml
6腕プルテウスまで500個/10ml
8腕プルテウスまで50個/ 10ml、
変態時2~3個/10ml
以前、別の研究者の方から教えてもらった適正数です。最初にお渡しする数はここまで多くはないので、最終的に小さな培養フラスコには13個体(お茶大推薦)を目安にしてみてください。
変態誘導
ウニの胃腔の横にできてきた原基が胃腔の半分くらいの大きさになったら、変態誘導を行います。
実際には誘導しなくても変態しますが、飼育容器の下には汚いものが沈殿し、そこにウニを捕食する生物が発生している可能性もあるので、きれいな容器に移した方が安心です。
ここまで育てることができた方は、きらら舎まで連絡をください。
FaceBookでその写真を投稿してくださるとよいです。変態誘導用のものをお送りします(無料)。

左の2つは変態しかかっている。
右の8腕プルテウスも原基がだいぶ大きくなっている
こうして腕がだんだん短くなって、代わりに管足が体の外に出てきます。

これからどんどん管足が出てきます。

キタムラサキウニの稚ウニ
コメントを残す