エアリースパイラルスコープ取説
水晶は珪酸塩の四面体(酸素原子3つの上の真ん中に1つ乗って、中心を結べば四面体になる中心に珪素原子1つが入っている、という構造)が酸素原子を共有して螺旋を描くように構成され、成長しています。
『鉱物レシピ』などに図を掲載しているので、気になる方はそちらをご覧ください。
人工水晶は切断加工するときの切断方位を同じにするため(逆だと水晶振動子の温度特性が変わってしまう)右水晶に統一されています。
自然界には右巻きと左巻きはちょうど半々の割合で存在します。
今回、KentStudioが水晶(の螺旋)観察機を作るにあたり、100個の水晶球を購入し、観察してみたところ、
右:左は49:50 1つはクラックにより判別不能、という結果でした。
いつものKentStudioの木製品と同様の材料&作り方にて、観察機を作りました。 >>購入はこちら
雲母検板の代わりに、1/4波長板を採用しました。
工業的に使用される高額な波長板から工作に使うものまでいろいろ買って試行錯誤しました。
レンズの枠にはアルミを使用しました。
で、一番、大変なのは、所有する水晶球のC軸を2つの窓を結ぶ線に平行になるような角度を見つけることです。
そこで、固定板をいろいろ試行錯誤しました。
水晶観察機完成時には板の固定板でしたが、よりサイズが違う水晶球に対応するため、
また、光を遮断しないために、真鍮クリップに改良されました。
使い方
まずは半透明な窓を向こうにして、透明な窓を手前にします。
クリップはビヨンと拡がりますので、先の輪に水晶球のカーブを合わせて固定し、
クリップの端を上下から挟むようにして持ち、
水晶球の真ん中に向こう側の窓が白く見えるようにし、
水晶球をくるくるまわして、C軸の方向を探します。
焦点距離とC軸の方向を同時に見つけるのは、それでも大変かもしれません。
そこで、まずは焦点距離をみつけます。
クリップではさんだ水晶球を遠ざけたり近づけたりすると、くっきりと水晶球が見え、白い窓がきれいに見える位置があります。そこが焦点距離です。
距離がわかった時点で同じサイズの水晶球であればほぼその距離でエアリースパイラルが観察できますので、スコープにマステなどでマーキングしておくといいかもしれません。
これは左巻だったようです。
光の干渉を利用しているため、球を使っていますが、C軸にきちんと垂直にカットし、横からの光を遮ったものを作れば、それでも、エアリースパイラルは観察できます。
ただ、なかなか水晶をきれいに切断することは難しいので、できるだけ透明な水晶球で観察するのがベストです。
左が左巻。 右が右巻き。