フレヌラソデガイ
初稿:2021年8月6日
更新:2024年10月31日
アメリカの標本業者から輸入した赤い貝殻。
ラベルにはRed cockleと書かれていました。
フィリピンのボホール島周辺の水深深くで採集されたものとあります。
この業者の扱う標本は、セブ島、ボホール島、オランゴ環礁周辺で採集されたものが多いので、採集地としては間違ってはいないと思われます。
・・・・・で、お客さまで、大学院で腕足動物を研究されている方から、これはRed cockleではなくフレヌラソデガイだと思うとご連絡をいただきました。
たしかに、二枚貝のザルガイにしては少し違うなと思っていて、二枚貝をくっつけてあるのかなと考えていたのですが、教えていただいて合点がいきました。
写真はもともとついていたラベルを元にラベルを作っていますが、現在はフヌラソデガイのラベルになっています。
【フレヌラソデガイ(チスジソデガイ)】
学名:Frenulina sanguinolenta (Gmelin, 1791)
腕足動物について調べてみました。
読み方は、「わんそくどうぶつ(Brachiopoda)」。
2枚の殻を持つ海産の底生無脊椎動物で、シャミセンガイ、チョウチンガイなどと呼ばれるものを含む。
一見して二枚貝に似るが、体制は大きく異なり、貝類を含む軟体動物門ではなく、独立の腕足動物門に分類される。
二枚貝に似ていますが、体の左右でなく前後(背と腹)に殻を持つことから、分類学上、まったく別グループにまとめられているようです。
「触手動物・腕足綱」に属する古い動物群で、6億年もの大昔から存在している生物ですが、その大部分の12,000種以上は「化石種」つまり現在は化石としてのみ存在が確認されていて、「現生」つまり、今生きているものは世界中で350種程度しかいないそうです。
つまり、この仲間は生きている化石!?
腕足動物って名前も気になります。
腕足動物の学名の「Brachiopoda」はギリシャ語で腕を意味する「brachium」と、足を意味する「poda」を合わせたもので、和名はその直訳です。
海底ではこんな感じに生えているみたいです(今の殻からの想像図)。
本当のところはわかりませんが。
ぷっくりとした殻は上下で開き、中は空洞。
二枚貝の蝶番にあたる下ほどに穴がありました。
ここから肉茎と呼ばれる体壁が伸びてできたものを出して海底に固着するらしいので、こんなイメージ。
ただ、肉茎を欠く種もいるみたいなので、フレヌラソデガイが肉茎を持っていたのかは不明です。
教えていただいた方からこんなコメントをいただきました・・・・・
「正確にはフレヌラソデガイの肉茎(茎のような部分)はもっと短いですけど、あれくらい長い肉茎をもつ種もいます。」
とのことです(笑)
ところで。この赤い標本は「現生」といいます。
ウニなどでよく使われます。ウニ殻と化石の区別が一見だとわかりづらいので「現生」と書かれている感じ。
今回は腕足動物のなかのリンコネラという種の化石を紹介します。
Rhynchonella
モロッコ
白亜紀 約1億年前