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秋田県湯沢市 高松川原毛鉱山の【含鉛重晶石】。

鉛を含む重晶石で、北投石という流通名のほうが有名です。

北投石は明治31(1898)年に秋田県田沢湖の北にある玉川温泉で初めてみつかりました。玉川温泉は当時は渋黒温泉と呼ばれていて、この石も澁黑石と呼ばれていました。湯治場として人気があり、そのお湯はpH1.2という強い酸性でした。温泉としての効能は顕著だったようですが、玉川下流ではこの温泉水が流れ込むせいで、魚はほとんど見られませんでした。

現在は、下流で石灰による中和が行われていますが、かつてこの温泉の水は「玉川毒水」とも言われていました。

この源泉近くの湯の川の中に温泉沈殿物として形成される特殊な鉱物が北投石、つまり含鉛重晶石です。

最初にみつかったのは玉川温泉(渋黒温泉)ですが、その後に台湾の北投温泉で見つかったことで「北投石」と命名されました。北投石がみつかった後に、澁黑石も同じ成分だと判明し、台湾のものと区別するために秋田北投石などと呼ばれています。

主組成は重晶石と硫酸鉛鉱で、その中に放射性元素であるラジウムなどを含む放射性鉱物です(それでさらに温泉効用があるわけです)。独立の鉱物種ではなく、重晶石と硫酸鉛鉱の固溶体です。

玉川温泉の北投石は、国の特別天然記念物に指定されており、採集することはできませんが、今回は日本では二番目に発見された湯沢市 高松川原毛鉱山のものです。

ハイランクなものは淡い褐色をした透明結晶が白い母岩について採掘されます。

今回はその分離結晶で透明感はあまりありませんが、結晶の形がよくわかる可愛い結晶です。

レアな鉱物ではありますが、マニアックな鉱物なので、今回限りの入荷です(地味なので、科博物販にも出していません)。

 

 

含鉛重晶石/きらら舎

含鉛重晶石/きらら舎

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かよこ さとう ()

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