エルムウッド鉱山
10月1日にきらら舎のオンラインショップとして運営していた二号館を閉鎖しました。
そして、BASE店をメインショップとし、在庫移動を始めました。
その中で、エルムウッドの犬牙状方解石がいくつかあったので、エルムウッド鉱山のお話を書いておこうと思います。
エルムウッド(Elmwood)鉱山はアメリカ合衆国、テネシー州(Tennessee)、カーセージ(Carthage)地区にあった亜鉛の鉱山です。
1969年という結構最近に発見され、ジャージー ミニエール ジンク社が所有していました。
鉱山は鉱石を採掘するためのもので、標本はそのおまけみたいな感じなのですが、エルムウッド鉱山ではかつては鉱夫が昼食のクーラーに入れて標本を持ち出すことが許されていたり、標本用の作業員もいて、たくさんの素晴らしい標本が持ち出されました。
方解石は犬牙状で、アメリカ人が「Gold」と呼ぶ、濃い飴色のものは世界ランクです。
エルムウッドの蛍石の特徴としては、エッジが明瞭で結晶の形は立方体です。紫色のものが多く、光に翳すと濃い部分と薄い部分が縁どり模様になっていることがわかります。
閃亜鉛鉱はずっしりと重く、強い光を当てると真っ赤に見える部分もあって、「ルビージャック」という愛称で呼ばれています。
重晶石は象牙色のお饅頭みたいな形をしているものが有名です。
鉱山ではよくある話ですが、エルムウッド鉱山も2004年に一度閉山されました。その後、2008年に再開され、2年後の2010年には再び閉山されました。
閉山された理由はいくつかあるのですが、その一つが、素晴らしい標本は上質な亜鉛鉱脈でしかみつからなかったためです。
鉱山所有会社は上質な亜鉛鉱石をたくさん掘り出してこそ利益を得られます。その時に、丁寧に標本を採集していると、当然、亜鉛鉱石の採掘作業は中断せざるを得ません。
それから13年後、2023年12月3 日をもって閉鎖されました。