アリジゴクを飼ってみよう

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アリジゴクって見たことありますか?

 

多分、だれでもその巣は見たことがあるんだけれど、それがアリジゴクの巣だと気づいていないことが多いと思います。

神社やお寺の境内や、舗装していない駐車場、公園の隅っこなどの乾燥した地面を注意してみていると、小さな丸い穴があって、周りの地面とは違和感があるので、アリジゴクの巣だとわかります。

昔(子供の頃)は、これを捕まえてきてバケツで飼育したものです。

木造家屋の軒下や縁の下には必ず見つけることができました。

 

でも、アリジゴク、今では売っているのですね。

懐かしくなったので買ってみちゃいました(販売者がちょっとひどかったんですが、とりあえず3匹は無事到着しました)。

 

買わなくても、結構、近くにいるとは思いますが、さすがにおばさんがアリジゴク採集をするのは怪しすぎるので。

漁港で自作のプランクトンネットを揺らしているのは、まだ、「何か採っているんだろうな」ってわかりますが、バケツと空気入れを持って住宅地をウロウロしてたら不審者です。

 

以降、虫の写真もありますので、苦手な方はご注意ください。

 

【アリジゴクの捕獲】

前述のような場所が近くにある方は、大き目なスポイトやビーチボールの空気入れとバケツを持って探索にでかけてみてください。

アリジゴクの巣をみつけたら、穴の中心に空気を吹きかけて、空気で穴を掘っていくとアリジゴクが出てきます(露出します)。

これを捕獲します(大き目のスプーンですくうとよいです)。

 

一緒に穴の部分の砂(土)も掘って持って帰ってきます。

 

人目が気になる場合は、スコップで巣穴周辺をごっそり持ってくるという方法もありますが、これだとアリジゴクを傷つけたり、アリジゴクが入らなかったりするリスクがあります。

 

アリジゴクはウスバカゲロウの幼虫です。

ウスバカゲロウはアミメカゲロウ目ウスバカゲロウ科Myrmeleontidaeに分類されるトンボに似た昆虫です。

体長は35~45mmほどで、北海道から南西諸島の広い範囲に生息していす。

カゲロウ目の「カゲロウ」とは別の種です。

 

 

海岸砂丘や川の中州や周囲の砂地に巣を作っているのは、クロコウスバカゲロウ(Myrmeleon bore)の幼虫のアリジゴクです。

町でよく見ることができるのは、ウスバカゲロウ(Hagenomyia micans)の幼虫のアリジゴクです。雨が直接あたらない半日陰の場所に巣をつくります。

基質は砂ではなく、砂と粘土の中間の粒度をもつ「シルト」というものから成っています。砂よりさらに細かいということになります。

ウスバカゲロウよりも日がよく当たり、水はけのよい砂地に巣を作るのは、コウスバカゲロウ(Myrmeleon formicarius)の幼虫のアリジゴクです。クロコウスバカゲロウよりも一回り大きく、巣穴形成や捕食行動も活発です。

 

【飼育&観察する】

まず、持ち帰った土を小さな容器に入れます。

アリジゴクの作る巣穴は直径10~60mm、深さは5~30mmほどなので、それよりも少し大き目の容器を用意します。

その中にアリジゴクを入れると一晩で巣穴を作って潜っていきます(夜に巣作りをするので、暗くしておきます)。

容器は雨のかからない直射日光もあたらない日陰に置いてください。

時々、アリをつかまえてきて穴に入れて、与えます。

絶食には強いようですが、アリは小さいので毎日1匹は与えたいところ。

アリジゴクは脱走はしませんが、アリジゴクから脱出できたアリが逃亡しないように容器には(アリが出られない小さな空気孔を開けた)フタがあるといいです。

ただし、容器が深めで壁面がつるつるであればフタはなくても大丈夫です。

 

わたしはオオクワガタの幼虫を飼育していた容器と、SERIAの10×10×10cmの容器があったのでこれを使いました。

今回は生体だけ届いたので、土はありません。

試験的に川砂と赤玉土細粒を少し潰したものの2種類を用意しました。

コウスバカゲロウであれば乾いた川砂でよいのですが、ウスバカゲロウは泥と砂の中間くらいのサラサラした土(シルト)が必要です。

 

アリジゴク/きらら舎

川砂に入れてみました。

一応潜っていきました。

 

アリジゴク/きらら舎

川砂をいじったスプーンで、赤玉土のほうをならしたので、少し川砂が混じっています(黒いところ)が気にしません。

こちらが赤玉土。

 

アリジゴク/きらら舎

アカちゃんが作った巣

アリジゴク/きらら舎

タマちゃんが作った巣

翌朝、赤玉土のほうにはちゃんと巣穴が形成されていました。

川砂のほうにはできていなかったので、こちらも赤玉土に入れ替えることにしました。

しかし、こいつは巣穴を作るかの実験用なので、少し大粒の赤玉土を使います。

 

アリジゴク/きらら舎

アリジゴク/きらら舎

それにしても大粒なので(と、いっても販売名は小粒なんですが)、ハンマーで叩いて潰します。

 

アリジゴク/きらら舎

サラサラであることは必須ですが、少量の湿り気は必要らしいので、水を入れます。

アリジゴク/きらら舎

これをスプーンで混ぜて、土同士がくっつかないようにサラサラにします。

 

土の粒のサイズはかなり差がありますが、これに川砂にいたやつを入れました。

今後はカワちゃんと呼びます(笑)

アリジゴク/きらら舎

 

最初に赤玉土に入れたアカちゃんとタマちゃん。

先の写真でもわかるように、実はタマチャンのほうに入れた土の深さが少なかったようで、多分、巣の中心、つまり本人は容器の底についてしまっているみたいです。

裏から観察できるのでよしとしますが、捕食に問題が生じるようであれば土を足してみたいと思います。

 

 

晴れたらこれにアリを捕まえてきて投入します。

 

【アリを入れてみたよ!】

アリを捕まえました。写真は後日アップします。

カフェの前に猫のドライフードを数粒置き、4mmシャーレにお砂糖を入れておいておきました。

シャーレに1匹、ドライフードに数匹ついていたので、ドライフードごとシャーレに入れて持ち帰りました。

 

 

ピンセットでつまんで、ぽい!

アリは穴から出ようともがきますが、なかなか登れません。

そしてザサ~ッと落ちてしまいます。

この騒ぎを察知して(体に生えている毛で振動を感じているらしい)タマちゃんが動きました。

アリに土をぶつけようとしています。

しかし、アリはタマちゃんの背後の壁を登り(前方より角度が緩い)逃げてしまいました。

そこで再度、別のアリを投入。

アリは落ちてきているのに、土をぶつけようとして、アリを投げてしまいました(T△T)

しかし、アリは穴の外まで投げられず、また落ちてきました。

せっかく落ちてきたのに、また投げて、今度はありんこ脱出成功しちゃいました。

 

 

猛毒を持っていて獲物を仕留めるはずですが、なかなか仕留められません。

結局、ずるずると穴に引きずり込みました。

 

では。

食事中にまたアリが落ちてきたらどうするのでしょう。

入れたアリは穴の中でもがいていますが、なかなか出てきませんでした。

 

次に2匹入れたらどうするか?

これは、1匹だけ捕まえて穴に潜っていきました。

 

 

【後ろにしか進めない】

アリジゴクは後ろにしか進めません。容器に入れられたアリジゴクは後ろに進みながら円を描いて巣穴を掘っていきます。

まず外周を作り、そこから内側にくるくる回りながら掘っていき、最後に中心の一番深いところに潜ります。

途中で大き目の粒を円の外にポンポンと投げます。

先の巣の写真で、巣穴の内部は細かい土で、周りに大き目な粒が転がっているのがわかるかと思います。

閉じた大顎をシャベル代わりにして砂をすくってはポイッと投げます。その時、小さな粒は左右の顎の隙間から下へ落ち、顎に乗っている大きな砂粒だけが投げられます。

砂は容器の内側にぶつかり、パチパチと音がします。

顎は篩の役目をしているようです。

時々、進む(あとずさりする)方向も変えながら砂を投げながら進むと穴は深くなり、描く円は小さくなります。

最終的に穴の中心に到達します。

中心で、さらに砂粒を投げます。

投げれば投げるほど、巣穴は凹んでいきます。

『砂の魔術師アリジゴク 進化する捕食行動』(松良 俊明/中公新書ワイド版)にアリジゴクを研究してわかった巣の断面図が描かれていましたが、巣は、アリジゴクを中心にした同心円状ではなく、アリジゴクの頭方向の傾斜は38.5度で、頭から縁までの長さは25.0mm。尻方向の傾斜は31.7度で頭から尻側の巣の縁までの長さは32.3mmということなので、巣穴の断面図は均等なV字ではなく、中心がやや頭側に寄っていることになります。

落ちてきた虫が這いあがれないように、下から砂を投げる時に、この後ろより急な傾斜が有効なのでしょう(両方とも急だと、巣が崩れやすいので後ろ側がやや緩やかなのかと思います)。

 

 

 

【アリジゴクの暮らし】

サラサラの砂地をロート状に掘った巣穴の中心(底)に潜って、大顎だけを砂から出して獲物となる虫が落ちてくるのをじっと待っています。

獲物になる小さい虫が落ちてくると、砂や小石を投げつけて底に引きずり込み、体液だけを吸い取ります。大顎には溝があり、そこにすっぽりハマるように小顎と呼ばれるパイプを縦半分に切断したようなものがあります。

これがストローの役割をします。

そして残った死骸は大顎を使ってくぼみの外に投げ捨てます(ポイッという感じです)

捕獲の際には、大顎の先から消化液を敵の体内に注ぎこみ、相手の動きを止めるのですが、この消化液は猛毒で、フグのもつテトロドトキシンの130倍ほどもあるといわれています。

ただし、彼らの顎の力は強くはないので、人間の皮膚を貫通することはなく、アリジゴクの毒で人間が死んだという話は聞いたことはありません。

幼虫でいる間は2~3年です。

 

【蛹化・羽化】

成熟すると、腹部から糸を出して砂と絡めながら直径1cmほどの蛹室を作り、その中にこもります。

約2週間ほどで羽化し、ウスバカゲロウの姿となります。

アリを入れても動きがない場合は、蛹化したと判断し、容器をゆすってみると、中に砂の塊がみつかります。これが蛹です。

取り出して、砂をならし、これを上に置きます。

割り箸を半分くらいに切ったものを、立てておきます。

羽化した際につかまって翅を乾かすための棒です。

成虫となってからの寿命は2~3週間ほどです。

羽化を観察したら逃がしてあげましょう。

 

【便をしない】

巣穴が汚れないように(?)アリジゴクは幼虫の間、糞をしません。肛門はあるのですが、ほぼ閉じています。

糞をするのは、成虫のウスバカゲロウになる瞬間の一度だけ。

それまでに溜めに溜めた糞を一気に放出します。羽化を見る時に見ることができます。

ウスバカゲロウになってからは水しか飲まないので、一生のうち、一度しか糞をしないことになります。

今後は観察しながら、このページを更新していきます。

 

【アリジゴク。飼う気はしないけど見てみたい】

 

アリジゴクについてはNHK for キッズの動画にあります。「アリジゴク」で検索すると観ることができます。

検索がうまくいかない場合は「すべて」から「理科」を選択するとヒットします。

 

 

Categories: 生物・植物室