【ミズクラゲ(水海月)】
学名:Aurelia aurita
クラゲの多くの種類はまだ未解明の部分が多いのですが、ミズクラゲはクラゲの中では一番研究が進んでいる種だといえます。
オスとメスの有性生殖によって卵ができ、プラヌラ幼生になって海中に泳ぎ出し、岩などに固着します。その後姿を変えて小さなイソギンチャクのような形をしたポリプとなります。
そして、冬になって気温が下がるとストロビレーションを起こします。
人為的にストロビレーションを起こさせるには、飼育温度を下げて給餌を止めます。実際には明るさも調整すると確実にストロビレーションします。
小さな団子から触手が生えていたような形のポリプは細長く伸びてきて、やがてくびれができはじめ、色もピンク色になってきます。
くびれはさらに明確になり、触手は退化し、色もさらに濃くなり、ちょうど花びら型のおわんを何枚も重ねたような形となります。日本語では横分体(ストロビラ、strobila)といい、ストロビレーションは横分体形成といいます。
ミズクラゲの生活史は『鉱物テラリウム・レシピ』に掲載しました。
ただ、ここには一般的な生活史のみ紹介しており、実際にはプラヌラから直接エフィラとなるケースもあり、これは卵やプラヌラの大きさによるとされています(『ミズクラゲの研究』安田徹 著 水産研究叢書)。
冬の海月観察会兼モバイル顕微鏡ワークショップでは、ストロビレーションを起こしたポリプの観察をメインに行っています。
今冬の第一回目は12月22日(土)に行いました。
確実に観察していただくために、ストロビレーションは専門施設にお願いしています。
時間差でいくつかの群体を調整管理してくれます。
参加されたお客さまは、エフィラ幼生が拍動し、遊離する様子を観察することができました。
また、エフィラ遊離までにはまだ数日かかりそうなストロビラもあり、いろいろな段階をお持ち帰りいただき、ご自宅で継続して観察&飼育していただいております。
なお、温度刺激などをしてもストロビラにならないポリプもあります。これはスキフィストマ (scyphistoma) もしくは鉢ポリプ(スキフォポリプ、scyphopolyp)と呼ばれます。
観察会のポリプはすべて同じDNA(1つのポリプから分裂したもの)なので、同じ容器で飼育することができます。
ご自宅でエフィラができったポリプにブラインシュリンプをあたえると、また触手を伸ばして大きくなり、分裂します。
お持ち帰りいただいた方へ
遊離したエフィラは別の容器にスポイトで移してください。
容器はベテランの方以外にはお渡ししていますが、その容器(タイコビン)は時々ゆっくり回して水流を作り、エフィラが沈みっぱなしにならないようにしてください。
給餌はいくつかのブログ、および『鉱物テラリウム・レシピ』に記載しておりますように、ブラインシュリンプを孵化させて洗って与えてください。
給餌容器を別に用意し、まずは水ごとエフィラをそこに入れ、ブラインシュリンプをいれて、4時間くらい経過したらもとの容器にきれいな海水を入れて、そこに戻してください。
エフィラが8mmを超えるサイズになってきたら、少し大きな容器に入れてください。
コメントを残す