カフェでは春と夏にウニの受精発生ワークショップを行っています。
これを自宅でも実験観察できるキットを試行錯誤中です。
実験1人分なので精子の乾燥をいかに防ぐか。
未受精卵をいかに長く生存させるか。
そして、やったことがない人にいかに失敗しないで実験をしていただくか。
そこんところが課題となっています。
試行錯誤中なので成功の保証はありません。
その代わり、受精させたものも同封し、自宅での受精に失敗した場合でも受精卵を育てて、プルテウス、ウニに変態するところを見ていただけるようになっています。
受精実験キットは実質無料ですが、容器代と抗生物質代金(これが高い)として220円(税込み)だけいただいています。
放精・放卵にはアセチルコリンを使用しています。
筋肉を収縮させて放精・放卵させます。試薬には多くはKCLを用いられています。
きらら舎でもかつては口器を除去して体内にKCLを入れる方法をとっていました。
しかし、それだとウニは死んでしまいます。
ところが先日、ウニ研究の馬渕先生より、アセチルコリンでの放精・放卵の方法を教えていただきました。
アセチルコリン10molを1個体に0.1mlづつ打ちます。
少量づつ2~3か所に打ちました。
バフンウニの口器は少し沈んでいます。
これにアセチル子チンを打つと、口が出べそみたいに盛り上がってきます。
バフンウニは管足の色で雌雄の判別が付きますが、採集者から送ってもらったものは管足を出していないのでとりあえず、シャーレの上で放精・放卵をさせます。
口器と反対側から放精・放卵しますので、しばらくしてから裏を見てみます。
これが白ければ精子で、オレンジ色だったら卵です。
卵だった場合はただちに海水で満たしたフラスコの上の置きます。
5列になって卵が落下します。
受精キットでは、こうして採集した卵を60mlの培養フラスコで、抗生物質を入れた海水に入れてお届けします。
精子はドライスパムといって採取したまま、海水で希釈していないものをビニール袋になすりつけています。
これをたたんで水で湿らせたキムワイプで包み、さらにビニール袋に入れています。
海水の素も付属しています。
500mlのカルキ抜きした水に同封した海水の素をすべていれて、シャカシャカふって溶かし、その海水を同封のスポイトで1mlほどとってビニール袋の精子にかけます。
そのあと、袋の中を洗うように海水を移動させます。
こうして精子の懸濁液ができました。
まず、未受精卵を観察しましょう。
容器をしばらく安置しておくと卵は下に沈んでいるので、同封したもう1本のスポイトでとってスライドグラスやシャーレにのせて観察します。
これは未受精卵です。
ここにさきほど海水で薄めた精子懸濁液をほんの少し入れます。
卵の入っている水滴の端っこにたらします。
本当は、つまようじの先につけた程度でいいのですが、わかりやすいように半滴ほど入れてみました。
15:00 受精
受精膜は見ているうちにあがってきます。
そこから約75分後。気温17℃。 20℃で90分といわれていますので少し早いかも。
16:15 2細胞期
シャーレには濡らしたキムワイプをかぶせてからふたを乗せておきました。
個体差は若干あるので、いくつか観察していると、真ん中に線ができ、くびれてくるところも見ることができるかもしれません。
2つに分かれてからそれぞれが丸くなってきます。
17:15 4細胞期
18:15 8細胞期
夜
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