モルフォ蝶の美しいメタリックブルーは構造色です。
構造色というのは、物質の構造によって特定の波長の光だけを跳ね返すことによりその色に見えるというものです。
モルフォ蝶は表面をモバイル顕微鏡で観察すると無数の瓦が並んでいるように見えます。
この瓦のように見えるものが鱗粉です。
これをさらに倍率の高い電子顕微鏡で観察すると、およそ70x150μm、 厚さ数ミクロンほどの鱗粉の表面には数多くの青い筋があることがわかります。
さらに、透過型電子顕微鏡で鱗粉断面を詳しく観察すると、針葉樹の林のように見えます。幹からは左右に10本くらいの枝が突き出ています。学者によっては、この構造を棚構造と表現する場合もあります。
この複雑な構造が青色の波長の光を跳ね返しているので、モルフォ蝶の翅は青色に見えるのです。
前置きが長くなりましたが、その色が構造色ということは、光の進行を妨げることがあると、その色を呈さなくなるということです。
たとえば、レジンに沈めれば、モルフォ蝶の翅は茶色にしか見えません(『鉱物レシピ』に写真掲載)。
以前、モルフォ蝶の翅の鱗粉保護のために透明なフィルムに挟んだことがあります。
シール式の透明なフィルムに挟んでおけば、そのあとの加工が楽になると、安易に考えたためです。
貼ってしばらくは問題ありありませんでした。
しかし翌日見てみると、青い翅は無残に茶色になっていたのです。
フィルムについていたほんのわずかな接着剤が鱗粉の構造に浸透してしまい、本来の光の反射を阻害してしまったと考えられます。
現在は、金属パーツに切り抜いたモルフォ蝶の翅を入れ、翅に触れないように接着剤でガラスドームをのせています。
理科室カフェでは、そんなモルフォ蝶の構造色の儚さを実験し、ドームを使ってアクセサリーを作ります。
少しでも翅に接着剤がつくと一貫の終わり!
結構繊細な作業です。
はみ出した接着剤が数日後にモルフォの翅にまで到達してしまった場合もそこから茶色になっていきます。
この作業のコツをマスターしながらペンダントかリングかを作ります。
使う翅は後翅として販売しているものから1枚選べます。
残った翅はロケットペンダントケースに入れてお持ち帰りいただけます。
モバイル顕微鏡で、この残った欠片を再度ゆっくり観察したり、そのままアクセサリーにしたり、お愉しみください。
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