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お問合せが多いので、2020年の日程予定について加筆しました(青色文字部分)。

2020年のウニ発生実験のご案内ページも作りました。  >>2020年 ウニ発生実験のご案内

 

このページは、理科室カフェにご参加いただき、夏休みの自由研究にまとめようとしている方用に実験の手順や飼育の方法などを記録しておくことと、次の日程予定を掲載するものです。

 

 

 

【ウニのシーズン】

 

わたしたちが食べているウニの部分は生殖器です。お寿司屋さんの軍艦巻の上に乗っているウニはオスメスの区別はつきませんね。オスもメスも生殖器はあんな形をしています。

ここでシーズンというのはウニが卵・精子を持つ季節です。

バフンウニでは冬から春、ムラサキウニは夏、アカウニでは秋に、ウニたちは卵・精子を作り子孫を残します。

発生の実験はこの季節に限られます。そしてバフンウニが一番やりやすく、受精膜も明瞭で、その後の飼育もしやすいので、きらら舎ではこれをメインにしています。

夏にはムラサキウニでも実験を行いますが、ウニの輸送時の温度管理や実験時の棘の処理、ウニになってからの飼育など、バフンウニに比べて難易度が上がります。

また、アカウニはなかなか採取・入手ができません。

 

 

 

 

【きらら舎のワークショップ】

 

きらら舎のワークショップでは1月下旬から2月下旬にバフンウニで1回。

3月下旬から4月上旬でバフンウニの2回目を行うようにしていました。

しかし近年、関東近海の海水温が上昇しているため、2020年は最初のワークショップは2月22日(土)を予定しています。

1回目の実験はシーズンの開始直後に、一番いい状態(満月か新月の翌日)に採取してもらったものを使います。

2回目の実験は磯研修に参加する時に採取したものを使って行います。

2020年は4月の予定です。詳細は磯研修日が決定次第、このページを更新します。なお、磯研修開催が土曜日となるため、土曜日はカフェはお休み。磯研修で採集したものを翌日にA.D.NÉELお台場ヴィーナスフォート店で観察・撮影し、合わせてウニの受精実験も行います。

1回目の実験ではほぼ確実に実験を行い、放精・放卵の体験、未受精卵と精子の観察・撮影。
その後にお持ちのスマホやタブレット上にて受精させます。受精膜があがるまでを観察します。

その後、受精卵~プルテウスをお持ち帰りいただいて飼育ができます。通常、学校で実験を行った後、生徒に継続して飼育・観察をさせるポケット飼育というものがあります。ここで使う飼育容器は小さなチューブですが、きらら舎では2019年から大きな培養フラスコにてお渡ししています。

綿密に個体数を数えて計算してお渡ししていないので、少し多めになっています。次の水換え時に複数の容器に希釈して、いくつか条件を替えて飼育してみるとよいと思います。

2回目の実験(2020年は4月の予定)はウニのシーズンの終わり近いため、実験ができるかどうかはわかりません。採取してきたウニが卵と精子をもっていないこともあり、また持っていたとしても、シーズン終わりだとあまり状態がよくない場合もあります。

ただし、ウニの実験以外にも採取してきた生体の観察や配布も行います。

2回目にご参加予定の場合でも、1回目の生体をご購入いただいておくと完璧です。

2019年は2回目もうまく行きました。

 

 

ウニ幼生飼育キット ¥1500   >>通販

*培養フラスコ入り幼生
*2週間分の餌
*2週間後に追加の餌と水替え用シートを郵送します(料金内)

 

もし、飼育途中で全滅してしまった(と思った)場合、ご連絡の上、できるだけ早めにカフェにお持ちください。

全滅しているかを確認の上、だめだったら新たに生体を差し上げます(無料)。

リベンジはきらら舎で配布用に維持している個体がある限りは無料で差し上げます。

 

【カフェでの実験手順】

参加者の方4名で1テーブル(場合によっては各テーブルにプラス1席、補助席が出ます)となります。1テーブルに2~3個のウニを渡しますので、有志の方にアリストテレスと呼ばれるウニの口器をはずしていただきます。

 

 

体内の水を振り切って、まずはシャーレの上にウニを乗せて0.5molのKClをスポイトで入れます。
KClによって筋肉が収縮し、メスならば卵、オスならば精子を放出します。

これが黄色であれば速やかに準備しておいた三角フラスコ(海水を満たしてある)に乗せて放卵させます。

 

ウニ生殖巣は(オス、メスとも)5つあることから、放出される卵は黄色い5本の筋となって落ちていきます。

シャーレに放出されたものが白ければ精子なのでそのままにしておきます。

 

まずはシャーレに出た分の未授卵をモバイル顕微鏡で観察します。

少し海水で希釈して観察用のスライドグラスに付着させます。

2020年は800倍のモバイル顕微鏡もご用意します。

 

 

 

次に精子を海水で希釈し、爪楊枝でスライドグラスに付着させてモバイル顕微鏡で観察します。

動画撮影もできます。

 

2020年は800倍のモバイル顕微鏡もご用意します。

 

次に、シャーレに卵を取り、海水を少し補充します。

そこに、爪楊枝の先に海水で希釈した精子を付けてシャーレの卵に混ぜて受精させます。

受精の様子は動画で撮影すると面白いと思います。

 

 

卵に精子が群がり、1つの精子が卵に入った途端にそこ位置から受精膜が上がります。

 

やがて卵割が始まります。

 

小中学生への課題

*卵やプルテウスの様子をスケッチしてきてください
2細胞期、4細胞期、8細胞期、16細胞期、桑実胚、孵化・・・・・
16細胞期(受精から 約10~12時間後)では小割球・大割球・中割球に分かれていることをよく観察してスケッチしてください。

夏休みにそれをコピーしたものをもってカフェへお越しください。
スケッチした部分に詳細(部位の名称やその後何になるかなど)を書き込みます。
コピーしたものに直に説明を聞きながら書き入れていただくため、必ず現物ではなくコピーしたものをお持ちください。コピーは到着後、セブンイレブンでもできます。複数コピーしておくと安心です。

 

※ 0.5molのKCl
きらら舎の天気管ワークショップで使っている塩化カリウムです。
これをモル計算で0.5mlの水溶液とします。計算式が必要な場合はカフェにてお申し出ください(筆記用具をご持参ください)。

 

【ポケット飼育】

より本格的に飼育するために、250mlの培養フラスコに入れてお渡しします。

実験当日は個体数を計算してお渡しする余裕がないため、濃いめになっていると思いますので、1回目の換水時に複数容器に希釈してください。
この複数容器はあえて条件を変えて飼育してみるのも面白いです。

4 腕プルテウスまで 5000 個/10ml、6 腕プルテウスまで 500 個/10ml、8腕プルテウスまで 50 個/
10mlが適正と言われています。さらに8腕になったものが変態するには 2~3 個/10mlが適正です。

しかし、少しづつ自然淘汰されるので、3日に1回半量の水交換時に生存数が多ければ容器を分けるようにしてみてください。水換えは、フラスコの口をプランクトンネットかキムワイプやろ紙で覆い、ゆっくり水を半分ほど捨てます。
そのあと、口に当たっていた部分の位置がずれないようにネットを裏返して再度セットし、上から少しだけ水を注ぎ、ネットについているかもしれないプルテウスを落とします。
その後はネットをはずして抜いた分の水を加えてください。

餌は浮遊珪藻のキートセラスです。2~3日に1回、スポイトで数滴、飼育容器に入れます。顕微鏡でプルテウスの胃に茶褐色が確認できれば 食べている証拠です。

4腕プルテウス。6腕ができ始めています。

4腕プルテウス。6腕目が少し伸び始めています。

 

プルテウス幼生になると、容器の外からルーペでも観察ができます。

 

 

 

2019年の第一回目のプルテウス幼生の変態準備

飼育温度(室温)にもよりますが、我が家の生物エリアは南窓に面した温かい場所なので、プルテウスは30~35日で、ほぼ変態間近となりました。

飼育容器の外側からルーペで観察すると、プルテウスのステージがほぼわかります。

4腕、6腕のものでは三角形が細長いのに対して、8腕は丸っこい印象となります。さらに原基が成長すると(原基が胃と同じサイズになると変態間近です)もっと丸っこくなります。

モバイル顕微鏡で観察すると管足や棘も見えます。

 

本当は、培養容器の口にキムワイプやプランクトンネットなどを付けて水を捨て、少量の海水に濃しとった幼生を戻すのですが、このネットの選択を誤るとすべて捨ててしまうことになるので、目視で容器内にいる幼生をパスツールピペット(硝子製でスポイトの細いやつ)で吸い取ってシャーレに移すのがよいかと思います。

パスツールピペットを使用するのは海水をたくさん吸わないようにということなので、先が細いスポイトでもかまいません。

 

 

3体ほどをモバイル顕微鏡用のフラスコに入れてみました。

本当は大き目なフラスコのほうがよいのですが、変態をそのままモバイル顕微鏡で観察するためのものです。

確実な飼育用にはきっちりフタの閉まる容器をご用意ください。浅いもののほうが観察がしやすいです。

きらら舎生物部では「100均クリームびん」で行っています。
直径4cmほどの携帯用化粧品を入れる透明な容器。ネジ式でフタが閉まります。底ができるだけ平だと、モバイル顕微鏡で、そのまま観察ができます。

 

ちょうど雌株のよいものが出回っている時期なのでそれの欠片を入れてみました。ワカメや昆布など諸説ありますが、ヨウドが問題のようです。

甲状腺ホルモンの錠剤をすり潰して投与してみたシャーレもセットしました。

 

 

結局、メカブは取り出しが遅れて水質が悪化、錠剤のほうもチロキシン以外の錠剤を整形するための粉などのせいで水質悪化でうまく行きませんでした。

メカブは1時間ほどで取り出すのがいいと思います。

ライブロックやウニの故郷の海藻(ひじき)を入れたものが変態しました。

2020年は変態用のチップも作ってみようと思っています。

 

タイドリウム

シャーレでウニに変態しても、まだまだ小さいのでいきなり水槽に入れると見失ってしまいます。

そこでシャーレを少しづつ大きくしながら飼育をします。

浅いジャム壜などにライブロックを入れて稚ウニをライブロックの上に落とします。

1cmを越えたら底面フィルターの小さな水槽で小さなタイドプールを作って飼育をすると楽しいです。海水用の藻を植えると雰囲気がでます。

 

 

 

【プルテウスの餌の培養】

キートセラスは2週間ほどしかもちません。そのため、2週間後に再度餌を郵送します。

しかし自分でキートセラスを培養することもできます。培養を希望される方はカフェにてご相談ください(きらら舎でも注文できます)。

キートセラスの種株(これは餌としてお渡ししたものでもOKです)、KW21、メタ珪酸ナトリウムをお分けしております。

 

 

 

 

 

Categories: きらら舎 Schole

About the Author

かよこ さとう ()

Website: https://kirara-sha.com/

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