ポップコーンロック。
リクエストがあったので詳細をリライトしました(2020年12月16日)
道端に落ちているような石(というより砕かれた岩)から、ポップコーンに似た美しい石の花が咲くというもの。
アメリカで売り出された理科教材です。
一番ポピュラーな商品に添えられている解説では、
Popcornrockは、米国西部のグレートベースンの限られた露頭で見つかった天然に存在する鉱物です。
その驚くべき性質は1981年にユタ州の地質学者Richaed D.Barnersによって発見されました(きらら舎訳)。
と、説明されています。
グラスなどの容器に入れて上から酢酸を注ぎます。
石全体にかかるようにします。
すべて沈まなくてもかまいません。
(実験は酢がすべて蒸発した時点で完成となりますので、たくさん入れると時間がかかります。全体がギリギリ浸る程度がお勧めです。)
激しく泡を出します。
左がよくみかける日本製醸造酢・・・・・結晶はできません。
右が酢酸。
実はこの石。
仕入れ元のアメリカ鉱物業者のラベルはDolomiteとなっていました。
ドロマイト(Dolomite)は苦灰石と苦灰岩のどちらも指します。鉱物としての苦灰石は炭酸塩鉱物で、化学式はCaMg(CO3)2。
結晶系は三方晶系です。
鉱物標本では母岩として白いものをよくみかけるかと思います。
苦灰石の標本もきれいなものも多くあります。酸化鉄を含んでピンク色に色づいたものは和菓子みたいです。
他のポップコーンロックの業者では、DolomiteではなくLimestone(石灰岩)と記載がありました。
苦灰石の成分はカルシウムとマグネシウム、そして炭酸です。
余談ですが「苦」という漢字が付けられた鉱物はマグネシウムを含みます。
苦灰岩と呼ばれているものは、石灰岩を構成している方解石や霰石(CaCO3)中のカルシウムが、マグネシウムに置き換わって苦灰石になったと考えられていて、苦灰石の割合が多いと苦灰岩と呼びますが、全てが苦灰石になっていることは少ないようです。
業者の説明は苦灰岩となっていますが、アメリカのグレートベースン地域の地層は石灰岩層なので、ポップコーンロックは石灰岩であると訂正したいと思います。
岩に存在する炭酸カルシウムは酢の酢酸によって溶解されます。発生した気泡は二酸化炭素です。溶けだしたカルシムは酢酸の液体にも溶けています。
岩には、酸の作用によって細い脈ができています。水溶液はこの脈から、再度毛細管現象によって吸い上げられます。
吸い上げられた水溶液中の水分が蒸発して白い結晶が育ちます。
アメリカの業者によっては、これを酢酸カルシウムの結晶としていますが、形状は霰石にそっくりなので、炭酸カルシウムの結晶だと考えています。
だんだん結晶が成長していきます。
山サンゴと呼ばれる霰石にそっくりな結晶です。
ただ、酢酸だと時間が経過するとオレンジがかってくることがあります。
これはハインツのホワイトビネガー
発泡も弱く、大きな結晶はできづらいのですが、ハインツでできた結晶はずっと白いままできれいです。
実験中、酢の刺激臭が気になる場合は、玄関の外やベランダに置き覆いをして雨風を防いでください。
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