刺胞動物門
鉢虫綱
旗口クラゲ目
オキクラゲ科
ヤナギクラゲ属
アカクラゲ
学名:Chrysaora pacifica(Goette, 1886)
英名:Japanese sea nettle
8月5日にプラヌラから変態したアカクラゲのポリプが異様に長く伸びていたので、クラゲ師匠に「これもアカクラゲポリプであるか?」と質問をしました。
水槽の外側から撮影したこんな写真じゃ同定できないとのことでしたが、その時に飼育水温を聞かれました。
当時は25~26℃。
夏、空調を24時間体制でつけている屋上実験室の水槽の温度です。
場合によっては27℃に達することもあるかもしれませんと伝えたところ、高すぎるといわれました。
確かに、アカクラゲの適正温度は17~20℃といわれています。
「ポリプだから強いだろう。多少水温が高くでも急激な変化じゃないなら大丈夫だろう。」とは思っていましたが、アカクラゲポリプは貴重なので、小さな冷温庫を買ってポリプ用としました。
ミズクラゲポリプやプラナリアもここで飼育することができます。
9月10日に冷温庫が届き、ポリプ水槽の壁面や底面についていたポリプをいつものクリームケースに入れて保冷を始めました。水槽はそのままです。
いつものクリームケースとは、飼育しながらモバイル顕微鏡で観察できるために使っている小さな透明のケースです。
100均で3つで110円。旅行に行く際、クリームを小分けにして入れるべく販売されているケースです。
10月1日。ポリプの1つの形が変わってきました。
本来は男梅のCMに登場する梅みたいなごつくてずんぐりした形をしています。
根本についているのがシストと呼ばれる部分で、ここから小さなポリプができて、殖えます。
プラヌロイドで殖える鉢虫綱 根口クラゲ目のクラゲたち(サカサクラゲやタコクラゲ)より増殖速度は遅いので、ポリプがより貴重とされます。
本来はこんな形のはずなのに、そこから何かが伸びていました。
どうやらストロビレーションしたようです。
タコクラゲやサカサクラゲは温度が高いほうがクラゲを出しますが、アカクラゲもミズクラゲと同様、水温が下がるとクラゲがでるようです。
先端のエフィラ群と根本の太さの差が大きく、拍動を始めている部分は大きくなって、とてもきれいな赤色に色づいています。
エフィラは数個体がまとまってはずれました。
そのあと、もがいている(各自拍動している)うちに、やがて1個体づつになっていきました。
ミズクラゲでは最初の遊離から全部エフィラとなってポリプから離れていくまで2~3日くらいです。
早いと3日かからずに、エフィラは出終わり、ポリプはまた触手を伸ばして捕食するのですが、アカクラゲは時間がかかるようです。
先端から色づき、拍動を始めて遊離・・・・・というのを繰り返してすでに2週間が過ぎましたが、まだ赤くなっていない部分もあります。
先端のエフィラは1個体ではなく数個が重なって1グループ(1くびれ)になっているようです。
保冷していないポリプ水槽がずいぶん汚くなり、茶苔だけでなく紫色の膜に覆われてきたので、リセットすることにしました。
その際、一番最初の「伸びていたポリプ」をつぶしてしまいました。
シストを基質に残したまま、肉片がちぎれてしまったので、これをクリームケースに収納しました。
ちぎれた肉片から触手が伸び始めました。
水槽リセットの際に、いくつかのポリプを壁面からはがす必要がありました。
その際に、シストだけになってしまったものもありました。
まるでウニの糞にしか見えないシストを、これもまたクリームケースに収納しました。
そこから複数のポリプが出現しました。
アカクラゲのポリプは増殖が遅い・・・・・が、ちぎったら一気に殖えるのではないかと、ちょっと悪い考えが脳裏をよぎりました。
水槽リセットの際に、またやってみようと思います。
プラナリア的ですね。
ちぎれたシストから出現した小さな小さなポリプがストロビレーションを始めました。
この茶色い部分(シスト)は3mmといった大きさです。
こんな小さなポリプから出るエフィラはきっと小さいのだろうと考えました。
しかし、ちゃんと大きくなってきました。
大きなポリプから出たエフィラには及びませんが、そこそこの大きさです。
くびれの数はさすがに小さいので少なく、早くエフィラを遊離させて、またご飯を食べて大きくなってほしいと思いながら、拍動を始めたエフィラを眺めています。
コメントを残す