もともと、研究発表されていたのは、福井県浦底湾で採れるクラゲが直達発生をするというもの。
通常、受精卵が孵化してプラヌラ幼生となり
プラヌラ幼生は数日海中を泳いだ後、岩などに着生して変態し、小さなイソギンチャクのようなポリプになります。
ポリプは何か月も無性生殖しながら殖えていき、冬になって海水温が下がるとストロビレーションしてエフィラを出します。
ストロビレーションというのは、日本語では横分体形成といいます。英語では Transverse fission、もしくはストロビレーション Strobilation。
まずは、ポリプが細長く伸び始め、先端にくびれができ、触手が短くなっていき、くびれはどんどん根本のほうにも広がってくっきりし、やがて触手はなくなり、拍動を始めて、先端からエフィラが遊離します。
これが一般的なクラゲの生活史です。
しかし、プラヌラからいきなりエフィラ(1匹だけ)がでる・・・これが直達発生です。
今年の春の実験で、20℃を境界にして、低いとエフィラが出て、高いとポリプになることがわかりました。
3月にプラヌラを抱えているクラゲは越冬したクラゲと考えられます。エフィラは水温が低くなると出る・・・・・それと同じトリガーでプラヌラはエフィラに変態するのではないかと考えました。
今回、今の時期にプラヌラを抱えていたミズクラゲがいたため、プラヌラだけを採取して送ってもらいました。
太平洋側だと越冬するクラゲは沖に出てしまうと聞いたことがあります。しかし、日本海は干満差も少なく、うっかり沿岸付近に来てしまったのかもしれません。
あるいは11月なのに、この気温なので、クラゲの体内時計も変わってきているのかもしれません。
前置きが長くなりましたが、今回の実験は
「この時期のプラヌラは直達発生するんだろうか?」
です。
20℃をキープしたもの。
四角くなってきました。
この四角の四隅はこれから触手が生えてくるために出っ張ってきたと考えられます。
翌日・・・・・
四隅から触手が生えてきました。
4本の触手の中間にコブができたきたので、ここからさらに4本の触手がでそうです。
一般には最初に2本の触手が出ると言われています。
想像どおり触手が出てきました。
ミズクラゲのポリプは触手が、このあと16本まで増えます。時々24本まで増えたものもいます。
直達発生で出たエフィラは小さくて弱く、エフィラを出してポリプになったものも小さいので、できる限りはプラヌラはポリプになって欲しいため、ほとんどのものは20℃以上をキープするようにしていますが、未明にやや下回る日もありそうなので、多少はエフィラになってしまうかもしれません。
直達発生でエフィラになると、こんな感じ・・・・・
数個体だけ、15℃をキープしています。今朝はまだプラヌラのまま泳いでいましたが、この時期でも直達発生するのかどうか。
結果が出たら加筆します。
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すべてポリプに変態しました。越冬していない個体はこの地域であっても直達発生はしないと考えられそうです。まだ、サンプルは1つだけなので、数回実験しても同じ結果であれば、そう結論できそうです。
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