現在、きらら舎では3種類のミジンコを飼育しています(飼育している壜に3種類が確認できています)。
【ミジンコ/Daphnia pulex 】
節足動物門
甲殻亜門
鰓脚綱
双殻目
ミジンコ科
ミジンコ属
ミジンコ D.pulex
いわゆるミジンコです。個人的にはミジンコは科の名前でもあるので、マミジンコなどと呼びたいところ。
背中に見える黒い粒2つが卵です。
ミジンコには、単為生殖期と、有性生殖期があり、通常(環境の良いとき)はメスしか生みません。
環境が悪化するとオスが生れ、交配するといわれています。
環境が悪い時には休眠卵とよばれる卵を作ります。
(休眠卵については文末に)
ミジンコ写真の多くは上のように真横から撮影したもの。
顕微鏡事情によります。
しかし、水滴の中に閉じ込めてモバイル顕微鏡で撮影すると、正面を向くこともあります。
よくみかけるミジンコの写真やイラストでは嘴を突き出した上に大きくてつぶらな目がありる横向きの姿。これだけ見ると目は左右あるように思えるのですが、こうして正面から見ると一つ目お化けのようです。
【カイミジンコ/Ostracoda】
節足動物門
甲殻亜門
顎脚綱
貝虫亜綱
カイミジンコ上目
淡水産の貝虫(Ostracoda)が、カイミジンコと呼ばれています。
ミジンコと名前が付いていますが、ミジンコのなかま(鰓脚綱)ではありません。
ケンミジンコと同じ顎脚綱に属しています。
その名のとおり貝を持っていて、ウミホタルに近い見た目をしています。
ちなみにウミホタルは顎脚綱、貝虫亜綱、ウミホタル上目です。
動きも他のミジンコより素早く、飼育壜では主に下のほうにいます。
【タマミジンコ/Moina】
節足動物門
甲殻亜門
鰓脚綱
双殻目
ミジンコ科
ミジンコ属
タマミジンコ Moina sp.
まるっこい形をしているのでタマミジンコと呼ばれます。
タマミジンコの仲間は数種類いるようです。
背中の黒い点々は子供の目。
ミジンコ科にはDaphnia 属(オオミジンコ、ミジンコ)、Simocephalus 属(オカメミジンコ)、Moina 属(タマミジンコ)、Ceriodaphnia 属(ネコゼミジンコ)、Scapholeberis 属(アオムキミジンコ)が含まれます。
タマミジンコとミジンコはその形と、棍棒状の第1触角がある(タマミジンコ)か、ない(ミジンコ)かで区別できます。
小さいのでメダカやベタの稚魚やグリーンヒドラにも与えることができます。
◆飼育
室内であれば、エアレーションなしの壜で十分に飼育ができます。
容器が小さいと温度変化が大きくなるので、そこだけ注意が必要です。
飼育温度は10℃~30℃。適正なのは20℃~25℃です。
水質はpH7~8の範囲で。
餌は酵母錠剤を粉砕して週に1回程度与えています。
餌を増やすと増殖のスピードも上がりますが、水質悪化も早く、密度が多くなって酸欠なども起こして全滅することがあります。
水換えというより、飼育容器内に苔が生えてきて中が見えなくなってきたら壜を交換しています。
ボルボックスのように苔で死ぬこともないのですが、見た目の問題。
あとは急激な水質悪化にも気づかなくなるので、「苔で中が見えなくなってきたら」というタイミングにしています。
予め、同じ容器を用意しておき、そこにカルキ抜きした水道水かミネラルウォーターを飼育水量の半分ほど入れます。
カルキ抜きした水はペットボトルに水を汲んで栓をせずに数日置いておいたものを使います。
ミネラルウォーターは日本産の安いものが適しています(必ず軟水を使用してください)。
飼育している部屋に1日置いておいて温度を合わせてください。
ミジンコ容器の下に溜まっている緑色の土のようなものはミジンコの排泄物です。しかし、カイミジンコはこの中にいます。底にたまった餌の処理もしているので、カイミジンコがいる容器の場合は、茶漉しを通して飼育水を半分捨て、まず、茶漉しで濾しとったミジンコを新しい容器に放ちます。
あとは、残りの飼育水を新しい容器にざばっと移して完了。
空いた飼育壜は洗っておいて次回、使います。
カイミジンコがいない容器の場合は、きれいな水が半量入っている容器に、現在の飼育壜の上澄みから半分を移します。残りの水を茶漉しを通して捨て、救出されたミジンコを新しい容器に放ち完了です。
水は全部交換しないようにします。
◆休眠卵
ミジンコの休眠卵の保管は、乾燥させて冷暗所に置くか、水に浸したまま冷暗所に置くかの2種類あります。1つの鞘に2粒はいっています。いずれも1年ほど保管できます。それ以上経過すると孵化率が下がります。
耐久卵はブラインシュリンプが代表的ですが、多くの餌として確立されたブラインシュリンプエッグほどの孵化率はありません。
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