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8月もあと3日を残すところとなった水曜日。

一件のお問合せが届きました。

夏休みには自由研究の相談が多数寄せられます。今回もそんな中の一件でした。

 

「夏休みの自由研究に、トリオプスの飼育・観察セットを購入しました。

博物ふぇすでお会いした時に、生物の飼育観察を自由研究にまとめる場合は、やっつけではなく、せめて夏休みの間にできるだけ長く飼育・観察・実験をしなくてはいけない、できれば1年がかりでまとめるといい、と教えていただいたので、早速、このセットを買ったのです。

しかし、全く孵化しません。販売元のQ&Aでも孵化率が悪いと書いてありましたが、すでに5セット買って1匹も孵化していない状態です。何が悪いのか、このセットで孵化させることがそんなに難しいのか、教えてください。

夏休みは、もうあと、数日しかないので、自由研究はビスマスにしました。しかし、せっかく着手したトリオプスの飼育をぜひ成功させて1年がかりでまとめてみたいので、よろしくお願いします。」(送信者の方へは掲載許可を得ています)

 

生物を飼育するキットがいろいろ販売されていることは知っていました。

わたしも小学生の頃はシーモンキーという名前で売られていたアルテミアのセットを買って孵化はしたものの長く飼育することができなかった記憶があります。

大人になってからもいろいろな生物の飼育・培養をしてはいますが、キットには手を出しておらず、トリオプスを飼ってみようとも思っていませんでした。

飼ったこともない生物について、ましてや、キットとして販売されているものについて相談されてもなあ・・・・・と思いながらも、なんだか頑張れと言ってしまった責任もあるので、とりあえずそのキットを購入してみることにしました。

 

「教えてあげられることがあるかどうか、全くわかりませんが、まずわたしもキットを買ってみます。細かいことはブログに書いてみますので、ご覧ください。」

と、返信し、この記事に至ります。

 

 

8月30日(金)

注文していたキットが届きました。

 

派手な蛍光色の飼育容器と説明書、卵と餌と栄養剤なるものが入っていました。

 

 

水は、汲み置きした水道水を使用するように書かれています。

カルキ抜きは使用してはだめだとも書かれています。

WEBサイトのQ&Aにはミネラルウォーターもだめだと書かれています。

しかし、日本産のミネラルウォーターであれば問題はないと判断し、いつも使っている安い天然水のうちの一つを使いました。

 

カルシウム 0.30mg

マグネシウム 0.14mg

カリウム 0.10mg

(100mlあたり)

 

 

取説には卵はまず半分入れようと書いてあったのですが、全部入れてしまいました。

1セットで孵化するのは1~3匹とQ&Aに書かれていたので、2回に分けてもわかりづらいと思って全部投入です。

取説には「卵はいちどに全部入れないようにしよう。」と念をおして書かれていますが、個人的には全部入れちゃったほうがよいような気がします。理由はのちほど。

 

 

水温は22~26℃が適温と書かれています。

タコクラゲエリアは多分、そのくらい。ちょうどライトもあるので、タコクラゲポリプ水槽の前に置きました。海水が飛んで入らないようにフタ(穴が開いているので)の上にプラスチックの板を置いてフタの穴をふさぎました。

 

9月2日

土日はカフェ営業日だったため、ゆっくり観察ができませんでしたが、月曜日の朝、タコクラゲ水槽の照明スイッチを入れたところ、トリオプスの飼育容器の中にアルテミアみたいな形の白いものが1匹、泳いでいるのを確認。

孵化したようです。

しかし、飼育水はうっすら白濁しています(実は昨日から)。
もやもやしたものも沈んでいます。

セットする際に、カブトエビの栄養というものを飼育水に入れるのですが、それのせいかなと。

そこで、「容器の1/3ほど水を入れる」という取説どおりにいれていた水量を増やしました。
全換水の環境変化も怖いのでまずは水を足したわけですが、水深が深いことで酸欠なることもあるので、イチかバチかです。

しかし、水面近くまで泳いで来れるようなので、この水深のまま1日様子を見ます。

 

泳いでいる幼生をモバイル顕微鏡で撮影してみようかとも思ったのですが、それで死んでしまう可能性も大きいので、やめておきました。

 

さて。

飼育してみることになったからには、生態を知らなくてはなりません。

早速、いろいろ調べてみました。

 

トリオプス、通称はカブトエビ。

田んぼにいるそうです。

 

節足動物門

甲殻亜門

鰓脚綱

カブトエビ亜綱

背甲目

カブトエビ属

カブトエビ科

英名:tadpole shrimp

英名を訳すとおたまじゃくしえび、となります。

外見はカブトガニに似ていますが、全く別種のようです。

 

実際のトリオプスの成体の姿は、実はあまり好きな感じではありません(笑)

カフェのお客さまで、トリオプス(カブトエビ)を小さい頃に田んぼで見たという方がいらっしゃいました。

オタマジャクシみたいだけど、三葉虫みたいだというその姿をまずは実際に見て、そこからやっぱり好きじゃないか、結構面白いと思えるかを判断しようと思います。

 

えさを考える

餌はセットについてはいます。

でも金魚の餌のような感じで、孵化したての幼生が食べられるとは思えません。

それで、最初にセットする飼育水に「栄養」を入れるのでしょう。

田んぼでは牛糞を使った有機肥料の田んぼに多くいるようです。しかし、そのためにPHが合わなかったり、他の微生物が殖えて駆逐されたりすることもあるようです。大きくなったらゾウリムシやワムシ、やがてはミジンコなどを食べるのかもしれません。

孵化したては水に溶けている栄養素で大きくなるみたいなので、まずはミジンコエキスを少々入れておくことにしました。
ミジンコエキスはクロレラや鳥糞などが入っているミジンコの栄養液です。

数日経ったら、換水して、ゾウリムシ(ワムシのほうが多くなっているかも)も入れてみる予定です。

 

今は1匹しかいませんが、雌雄同体とされていて、単為生殖も可能であれば、ここから増やせるかもしれません(すごく希望的な推測ですが)。

そうしたら、モバイル顕微鏡で観察してみたいと思います。

孵化したものと飼育水を見て感じたことは、孵化しなかったという場合の多くが、孵化してすぐに死んでしまったのではないかということ。

前述のとおり、飼育水は確実に汚れてきています。下にもやもやしたものがあります。生まれた幼生があまり泳げなかった場合に、このもやもやに埋もれていて気付かず、そのままもやもやの中で死んでしまった・・・・・。

実際にもやもやをスポイトの水流で巻き上げると、死んだ幼生が浮かんできました。幼生はピコピコ泳ぐのを時々止めるのですが、ずっと動かないので、やはり死んでいるのでしょう。

あるいはもやもやの中でまだ生きているのだけど見えていない・・・・・。
この場合は、巻き上げられたもやももやの中で突然動き出すものがいるのでわかります。

とても小さいので、照明を当てて(背景に黒い紙を置くとさらによい)よく見てみてください。

 

9月8日

昨日カフェ営業日だったので、日曜日にゆっくり水換えしたり撮影しようと思っていたところ、朝、死亡していました。

アルテミアも実際には歩留まりが悪く、どんどん減っていって最後に強者だけが生き残って飼育壜内を遊泳している・・・・・という状態なので、やはり、この孵化率の悪さは致命傷かもしれません。

気合入れて飼育したい場合は5セット。最低でも3セットは一度に買って、孵化させるようにしないと難しいという実感です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Categories: 生物室

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