今まで、いろいろなクラゲを飼育してきました。ポリプを継続して維持できているものもあれば、メデューサ(成体)は採集できてもポリプは見たことがないというようなものなど、状況は多様です。
ベニクラゲは何度か入手していますが、寿命自体が3ケ月ほどなので、長期に亘って維持するためにはポリプを得る必要があります。
ここで、クラゲの生活史を知らない方へ少しだけ説明しておきます。
クラゲは受精卵が孵化してプラヌラ幼生となり、それがどこかに定着してポリプに変態します。ポリプ世代は無性生殖でどんどん増えていきます。そしてある日エフィラ(クラゲの赤ちゃん)を出します。
中には、プラヌラ幼生がショートカットしてエフィラを出すものもあります(毎年、きらら舎生物部で実験をしている直達発生型ミズクラゲ)。
2018年に出版した『鉱物のテラリウム・レシピ』に、ベニクラゲの写真を掲載しています。掲載した写真は前年の10月のものです。
この時に入手したベニクラゲは北日本型のもので、到着時、成熟個体で15mmほどのサイズでした。
水温はクーラーなどを使わず、22~24℃くらい。
赤い部分に白い粒がついているのがわかります。
受精卵かプラヌラです。
すぐに、水槽の壁面にストロンが着いて伸び始め、ポリプができてきました。
写真ではすでにたくさんのブラインを捕食しています。こんな感じで元気だったのですが、たくさん殖えて、どんどん枯れて、クラゲがいなくなる頃にはポリプもなくなっていました。
今年。またベニクラゲを入手しました。
2017年の時よりも一か月早いので、水温を頑張って下げて22~23℃とし、これが24℃くらいになってしまっても少しづつの上昇ならいけるかなと考えていたのですが、甘かった。
一晩で縮んだため、採集者さんに聞いてみたら18℃適温でした。
ファンをつけてもそこまでは無理なので、若返り実験に切り替え、縮んだ個体数個をまずは隔離しました。
翌日には、すべてのクラゲが死んでしまいました。
死体回収し、さらに、ちぎれて飛び散った破片も別の容器に回収しました。
ベニクラゲ研究の久保田信さんの本では、「もうだめだという生命の危機に瀕すると若返る」とのこと。生命の危機とは、30℃を超えるとか比重が一気に変わるとか、針でつつくとか・・・・・・
針でつつこうかなとも思ったものの一応様子見としました。
カフェの営業日のため、観察を1日休んだ翌日。
破片を集めた容器の中に、プラヌラっぽいものがいます。それも複数。
こんなのもいました。
翌日、倍率の高いモバイル顕微鏡(アナトミー)に替えて再度観察すると。
明かにプラヌラのようなものが、プラヌラのような速度で、プラヌラのように泳いで目の前を通過しました。
変態していると思われるものもいました。
わいた微生物がひどいので、これらに負けてしまうかもしれませんが、とりあえず、何かが生まれたと思います。
考えられることは、死んだベニクラゲがすでにプラヌラを持っていた説。
ただ、4~5mmだったのです。
そして、まだ季節は早いので、成熟していたとは考えにくい。
しかし、ベニクラゲの若返りは死んだ破片(肉団子)からポリプができるというものです。
ミズクラゲプラントでのミズクラゲ実験でも、破片はポリプになり、プラヌラは発生しません。
なんとも謎な出来事でした。
その後、ベニクラゲ研究の久保田先生から返信がきました。
メスのベニクラゲがプラヌラを持っていたと思うとのことでした。
クラゲの成熟には時間と共にサイズも重要です。
でも、クラゲって縮むんでした。
夏に採れ始めるベニクラゲ。時間としては、そろそろ成熟個体がいるだろうし、一度成熟しても、環境によって縮むこともあります。
多分そういうことだったのでしょう。
若返りではなかったものの、ベニクラゲのプラヌラに会えたのでよかったです。
微生物に取り囲まれながらも、少しづつ大きくなっています。ポリプになるといいのですが。
・・・とはいえ、以前、ポリプたくさんできてもすぐに枯れてしまったので、あまり期待はできません。
余談ですが、春に受精実験した」カギノテクラゲのストロン(※)はまだまだ伸びています。
※ 刺胞動物門のクラゲはヒドロ虫綱、十文字クラゲ綱、箱虫綱、鉢虫綱の4つに分類され、その中でも多くのクラゲはヒドロ虫綱に分類されます。
ヒドロ虫綱のクラゲは、植物で言えば地下茎にあたるストロン(走根)と呼ばれるものを伸ばし、そこからポリプが生えてきます。ポリプたちはストロンで栄養を共有できています。
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