数年前まで、きらら舎ではローマングラスを扱っていました。
一つ一つ撮影するのが大変だったので、いつの間にか、店頭でのみの販売となっていました。
今年は本の制作の予定が(今のところ)ないので、きらら舎の(カフェとネットショップ)の商品アップの充実を図っていこうと思います。
合わせて販売しているものにマニアックなものが多いので、1つづつ丁寧に説明していこうと思います。
このノートは以前のものですが、2024年に合わせてリライト&更新しました。
ローマングラス
ガラス製造の歴史を辿ると、紀元前2300年頃にメソポタミアで作られたビーズがあります。
ガラス製容器が作られるようになったのは紀元前1600年頃と言われています。
そしてもっとも多くの記録を見つけることができるのは紀元前1500年頃のエジプトです。
鉛ガラスといわれるエジプトのガラスは現代のものように透明感はなく、トルコ石のような青緑の不透明なものでした。
やがて技術は進化し、宙吹きと呼ばれた吹きガラスの技法が生まれます。
当時エジプトはローマ帝国に服属されていましたので、ローマ帝国の権力下で量産され、後にローマングラスと呼ばれるものとなりました。
それまでのガラスはお金持ちや権力者だけが所有することのできる宝飾品でした。しかし、吹きガラスによって量産されたものは一般庶民の手にもわたり、さらにシルクロードを通って広く伝わっていきました。
ローマ帝国時代のこのガラス器、またはその破片は様々な土地で地中に埋まり、現代になって掘り起こされました。
乾いた沙漠から掘り出された硝子は表面が銀化して虹を纏ったような姿となりました。広義ではローマングラスはローマ帝国下で量産された吹きガラス製法でつくられたガラス器すべてを指しますが、一般的にローマングラスというと、この虹を纏ったガラスとなります。
この銀化した部分を「パティナ」と呼びます。地中から掘り起こされたガラスはクリーニングされます。その際に、パティナもたくさん剥がれておちます。ミニチュア試験管入り標本の「妖精の鱗粉」はこの剥がれ落ちたパティナです。
黒い紙に接着剤を薄く塗り、妖精の鱗粉ことパティナを貼るときらきらしてとてもきれいです。
たとえば、この欠片。セメントみたいな部分がありますね。これをクリーニングで剥がします。
残っているものもありますので、わざとここを剥がしてみて、下に隠れている部分を見てみるのも楽しいです。
一緒に剥がれてしまう部分もありますので、これはこれで何かに活用してみてください。
ローマングラスの纏っている虹色は光の干渉によるものなので、光源や角度によって出現する色も全く変化します。
さきほどの欠片。
ガラスにも化学反応時に刻まれた模様が見えます。
これは最初からあったものではないと思われます。時間が作ったレリーフというのも魅力ですね。
さらに、欠片を光に翳してみてください。
パティナの輝きは消え、本来のガラスの色がわかります。
ただし、やはり肉眼でみて、実際にいろいろな角度で眺めた場合とは違いますので、機会があればカフェにてお選びください。
カフェでは鉱物エリアにある棚の一番上の抽斗に入っています。
抽斗ごと、お席に運んでゆっくりお選びください。
コメントを残す