幻想的浮遊生活【クラゲの観察】
生物の本って、難しいのだそうです。
鉱物であれば、水晶は好きだけど蛍石は嫌いという人はあまりいないでしょう。
しかし、生物は犬は好きだけれど猫は嫌い、哺乳類は好きだけど、爬虫類は嫌い、虫なんて大っ嫌い!!というケースは多いのです。
だから、鉱物という大きなくくりでの本が作れないのです。大きなくくりができないという場合は、ターゲットが少ないということになり、なかなか本をつくることができません。
今回は、いろいろな実験を掲載した中でクラゲを入れてもらうことができました!(嬉しい!!)
ですので、このページ。熱く語るので、長いです(笑)
クラゲって家で飼えるの?
飼えます!
実際にクラゲを飼い始めて長い時間が経過しました。
しかし、飼うことが難しいクラゲもいます。毒が強いクラゲもいます。寿命がとても短いクラゲもいます。
まずは、クラゲの生活史のお話をしなければなりません。
クラゲの生活史
『美しい実験図鑑』にはミズクラゲの生活史の図を書きました。もしミズクラゲを飼ってみたいと考えたら、方法は2つあります。
1. クラゲの状態のものを購入して、それの寿命まで育てる
2. ポリプを維持してクラゲが出たらクラゲを育てる
どゆこと??と思った方は、切り花を考えてみてください。ミズクラゲは切り花のようなものです。寿命は決まっています。丁寧に育てても多分半年~1年の寿命です。
ポリプは多年草の本体のようなものです。何年も維持できますし、株分けして殖やすこともできます。
ミズクラゲのポリプは分裂などで殖えます。
水温が下がるとクラゲができます。
クラゲプラント
きらら舎では生物部でいろいろなクラゲの飼育・実験をしています。それ以外に、特にミズクラゲについて「クラゲプラント」というものをやっています。
水温が下がればクラゲが出るのですが、年中、クラゲを提供することを目的に、さらに、高温耐性のあるクラゲを作るべく、実験を繰り返しています。
家で飼えるクラゲの話
きらら舎では、ミズクラゲ、タコクラゲ、アカクラゲのポリプを維持しています。この3種類は季節が来るとクラゲを出します。
また、春にエダアシクラゲとカギノテクラゲを採集して受精実験をします。2023年のカギノテクラゲの受精実験ではポリプをつくることに成功しました。
ただし、エダアシクラゲとカギノテクラゲはポリプの維持がなかなか難しいです。ヒドロ虫綱のクラゲで、クラゲの中では一番種類が多いものです。ストロンと呼ばれる、植物でいえば地下茎のようなものが伸び、そこからポリプが出てきます。ポリプの他にクラゲ芽というものも出ます。クラゲ芽は遊離してクラゲになります。
ヒドロ虫綱クラゲでは、タマクラゲのポリプも飼っています。タマクラゲはムシロガイという貝の殻の上でしか生きることができません。・・・というわけで、ムシロガイも飼っています。
今年は春にタマクラゲがたくさん遊離しました。しかしその時にはまだムシロガイは卵を産みませんでした。水槽の環境と海の環境が異なるため、それぞれの時期がずれてしまているのだと思います。
タマクラゲが成熟して産卵し、生まれたプラヌラはムシロガイの稚貝の殻でポリプになります。ムシロガイには1つのポリプしか固着しません。ちょうど稚貝が生まれる時とプラヌラがポリプになる時期が合致する必要なあります。
ムシロガイを飼っていると、春にはふさふさだったタマクラゲのポリプはいなくなってしまいます。しかし、ストロンが残っていて、翌春にはまた、ポリプが生えてきます。
クラゲを飼ってみたいという方。ぜひご相談ください。
コメントを残す