12月17日(日) 刺胞動物の会
17:00~17:45 お話(カフェとリモート)
18:00~20:00(予定) 飲み会
お話をしてくださるプロ:星 元紀さん
星 元紀さんについて
経歴が凄すぎて(笑)
研究者履歴をそのままコピペします。
2023年度: お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 研究協力員
2017年度 – 2019年度: お茶の水女子大学, サイエンス&エデュケーションセンター, 研究協力員
2007年度 – 2008年度: 放送大学, 教養学部, 教授
2006年度: 慶應義塾大学, 理化学研究所, 客員主管研究員
2003年度 – 2005年度: 慶應義塾大学, 理工学部, 教授
2000年度 – 2001年度: 慶應義塾大学, 理工学部, 教授
1990年度 – 1999年度: 東京工業大学, 生命理工学部, 教授
1996年度: 東工大, 生命理工学部, 教授
1987年度 – 1990年度: 東京工業大学, 理学部, 教授
1988年度: 東工大, 理学部, 教授
1987年度: 東京工業大学, 理学部生命理学科, 教授
1987年度: 東工学, 理学部, 教授
1986年度: 東京工大, 理学部, 教授
1986年度: 東京工大, 衛生学部, 教授
1986年度: 東工大, 理学部, 教授
1985年度: 名古屋大学, 理, 助教授
星さんはもともとは動物学が専門で、いくつもの大学で生命科学を教えていました。東大で助手になったときに博物館委員に任命され、そこで「野外科学のすすめ」という連続講演会をやられたり・・・
植物でもエキスパートで、最初は、イチョウの精子の話をお願いしようかと思っていました。一番最初に精子がみつかったイチョウは小石川植物園にあります。春に雌花が雄花から放たれた花粉をキャッチする方法、その後、秋になって精子が卵まで泳ぐことなど、結構興味深いのです。
しかし、星先生から、きらら舎生物部のメンバーはネマトステラという刺胞動物を預かっています、星先生というとネマトステラのイメージが一番強く、さらに、クラゲ好きが周りに多いことから、「刺胞動物」のお話をお願いすることにしたものです。
レポート
当日は、結局、お話は80分ほどになりました。「刺胞動物」以外に、まずはプロフィール紹介を兼ねて、今まで研究されたことをお話されました。
今ではメッセンジャーRNAは広く知られていますが、これを見つけた現場に居合わせた話から始まりました。メッセンジャーRNAは、文系人間の知識内で説明すれば・・・・・
分子生物学の概念として、セントラルドクマ(central dogma)というものがあります。遺伝情報が「DNA→(転写)→メッセンジャーRNA→(翻訳)→タンパク質」の順に伝達されるというものです。セントラルは中心、ドグマとは宗教における教義のことです。
この分子生物学の基本となる原理はメッセンジャーRNAがあって、はじめて成り立つものであるので、実際に研究室で確証を得られたのは大興奮だったんだろうと思います。難しすぎて、そのくらいしかわかりませんでしたが(笑)
「脳における糖脂質の合成とミエリン形成に関する研究」のお話は、昔、『ロレンツォのオイル/命の詩(1992年、米)』という映画を見たことがあったので、少しだけ、どういう研究なのかうっすらわかりました。
生物学に触れたことがある方が聞いたら、もっともっと楽しかっただろうと思います。
とにかく、プロフィールのお話だけで、いろいろなことを知りました。
お話は、多くは生物全般となりました。
地球上の生物の重さでの比率では、人間と人間が飼育している家畜が9割以上を占めて、野生の生き物はわずか5.6%だという話。
地球が人間だとしたら、生き物はまつ毛一本分に相当する、しかし、それが地球表面の環境を大きく変えていること。
死とはなんだろうという話。
古生代/中生代境界(2.5億年前)の話では、今まで、何気なく使っていた白亜紀とか古生代とかいう区切りは産出化石の変化によるものだと、初めて知りました。そして、古生代の化石はたくさんあるのに中生代では一気に少なくなっている・・・種の絶滅が大規模に進んだかららしいです。
しかし、その時よりはるかに速いスピードで、現在は、いろいろな生物が絶滅しているのだそうです。
・・・・・とにかく、たくさんのお話でした。
ホヤを使った実験での自他認識や、ヒトデのゼリー層の役割などは、自分でも多少知っていることは、わかるので、面白かったです。
今回のお話会の中で、一番、気になったものが、「マミズクラゲ」と「クモヒトデ」でした。特にクモヒトデのクローン再生。
クモヒトデはヒトデとついていますが、いわゆるよく見かけるイトマキヒトデやコブヒトデとは綱が異なります。棘皮動物 > 星型亜門 までは同じで、クモヒトデはクモヒトデ綱、イトマキヒトデたちはヒトデ綱です。
クモヒトデ類は盤(真ん中にある丸い体部分)にすべての内臓が入っていて、腕に消化器官や生殖器官は入っていないので、筋肉を使って腕を器用に動かして高速移動ができます。
イトマキヒトデの受精実験で見られる幼生は最初は、ビピンナリア幼生で、ビピンナリア腕と呼ばれる5対の小突起を持っています。やがて、これとは別に腹部に3本のブラキオラリア腕が現れて、ブラキオラリア幼生になります。
クモヒトデの幼生はヒトデよりウニの幼生にそっくりでした。実際に名前もプルテウスでウニのプルテウス幼生の正式名がエキノプルテウス幼生(Echinopluteus)に対して、クモヒトデはオフィオプルテウス(Ophiopluteus)幼生です。興味のある方は「クモヒトデ 幼生」で検索すればその姿はわかるかと思います。
ウニやクモヒトデには、幼生骨片がありますが、ヒトデやナマコにはありません。このことによっても、クモヒトデはヒトデよりウニに近いのかも!と思います。
わたしが「面白い!」と思ったのは、ウニのプルテウスの腕は、アポトーシスといって、オタマジャクシの尻尾が消えてカエルになるように、退化して消えるのですが、クモヒトデのオフィオプルテウス幼生は腕を捨ててクモヒトデになる(ことがある)のだそうです。
そして捨てた腕を保管していると、また幼生が復活する!?・・・・らしい。
しかし、調べてみても、アポトーシスで腕がなくなる、ウニと同じ変態であるとしか書いてありません。今度、星さんに再度、聞いてみたいと思います。
ネットに画像がみつからなかったので、イラストで描いてみました。
8腕まではウニにそっくりですが、星さんのスライドではこのようなものがありました。
このグライダーみたいな腕を捨てて真ん中にある幼生が、ギザギザの腕をもった星形の稚ヒトデになった写真もありました。
そして、この落とされた腕にクローンが再生されるのだそうです。
クモヒトデの受精実験もいつかやってみたいです。
コメントを残す