2年前から、企画していて、今年はようやく実現ができそうなミズクラゲ倶楽部です。
【ミズクラゲ生活史】
まず、ミズクラゲの生活史をざっと説明します。
クラゲのオスとメスで受精卵ができます。
ミズクラゲが十分に成熟すると、メスは体内に卵を作ります。
成熟したオスが水中に放出した精子を、メスが体に取り込み、受精させます。
受精卵はメスの口腕の保育嚢に運ばれ、卵割を繰り返します。
やがて体表に繊毛が生じてプラヌラ幼生に成長すると、海中に泳ぎ出ます。
プラヌラの大きさは約0.2mmで体表の繊毛を動かして回転しながら遊泳します。
数日間遊泳した後、適当な付着基盤に付着すると、先端に触手が伸び、定着してから15時間ほどでイソギンチャクに似た、ポリプと呼ばれる段階に変態します。
今までの経験では、プラヌラを採取してから約5日目にポリプになっていました。最初は白い粒のようです。
変態直後のポリプの触手は2本ですが、すでに触手には刺胞が備わっていて、餌を摂ることができます。
ポリプは餌を食べて成長し、触手の数も増えていきます。
成長したポリプは無性生殖で増殖し、コロニーを形成します。
冬になり、水温が下がると、ポリプは徐々に色が赤くなって、体にくびれができ始めます(横分体形成、ストロビレーション)。
くびれはやがて花びらが重なったようになり、さらに発達して8つの縁弁が形成されます。
この段階で、もともとのポリプの先端の触手は吸収されて消失します。
花びらのようなものはそれぞれが1匹のクラゲのエフィラ幼生となり、先端から拍動を始めて分離し、海中へと泳ぎ出します。この時のサイズは約2mmほどです。
エフィラは成長し、やがて成熟します。
【ミズクラゲ倶楽部をつくりたい】
・・・・・この「ポリプ」の時期のものを飼育していると、寿命がないのです。
正しくは、どんどん増えるからずっと飼育ができる、ということです。
ポリプを維持して、冬になってクラゲ(エフィラ)が出て、どこまで大きくできるかに挑戦して・・・
でも、小さな水槽では成熟する前に寿命が尽きてしまいます。
こんなことを繰り返していたら、だんだん出現するクラゲ(エフィラ)の状態が悪くなっているような気がしてきました。無性生殖で殖えたとしても、テロメアの長さは復旧されないのかもしれません。つまり、老化はしているのではないかと。
そこで、ポリプも維持するけど、毎年新しいポリプを入手しようというプロジェクトを立ち上げました・・・・・プロジェクトなんていうと壮大ですが、毎年、プラヌラをゲットしようという話です。
趣味で時々採集に行きますが、東京近辺が限界。
なので、採集を生業としている方とタッグを組みました(無理なお願いをしているだけにすぎませんが)。
プラヌラを抱えていそうなクラゲがいたら一旦捕獲してプラヌラを採取してもらいます。これを送ってもらいます。
2020年から、ミズクラゲ倶楽部、スタートができました(2021年2月にリライト)。
【ミズクラゲ倶楽部のこと】
まずプラヌラ水を販売します。
詳細は「ミズクラゲ倶楽部/01 プラヌラ」をご覧ください。
もちろん、きちんとプラヌラがいることを確認したものを送ります。
本来ならば店頭受取にしたいのですが、そうもいかないので、ゆうパックで送ります。
到着したら・・・
到着したらすぐに梱包を解いてください。
プラヌラはたれビンに入れています。
(発送時期によっては容器がかわります。
5~1週間ほどでポリプになります。
ポリプになったらポリプの販売に切り替わります。)
外から見ると、茶色の粒が確認できますので、これをスポイトで吸い取って、1滴の海水とともにシャーレに載せ、モバイル顕微鏡のegg(エッグ)で観察します。
Anatomy(アナトミー)かTissue(ティシュー)だとさらに詳細な観察ができます・
今回配布はこんな感じ。
飼育は・・・
たれビンの中でポリプになるとやっかいなので、観察したらすぐに飼育容器に移します。さらに、たれビンですでにポリプになっているものがいないかを、たれビンをカッターやハサミで真っ二つにして内壁を確認してください。
プラヌラ時代は餌は要りません。
ポリプになったら、水深を7cmくらいにします。
ポリプ水槽を工夫して、変態したポリプを移植してもよいです。
水温は18~25℃くらいをキープします。
餌は孵化させたブラインシュリンプを与えます。
給餌後、4~6時間くらいしたら食べ残しを除去します。
小さい容器の場合は、全換水します。
容器内に茶色の苔が生えてくるので、綿棒で除去してください。
早め早めにこすって取っておくと後で楽です。
それでもどうしても苔に覆われてしまった場合は、つまようじでポリプを剥がして、新しい容器に移してください。多少ちぎれても再生して固着します。
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