きらら舎では、クラゲ実験としては毎年、「直達発生型ミズクラゲプラヌラ」「エダアシクラゲ」「カギノテクラゲ」「タマクラゲ」の実験をしています。
§ 1. 直達発生型ミズクラゲプラヌラ
ミズクラゲの通常の生活史では、受精卵が孵化してプラヌラになり、どこかに定着してポリプとなり、水温が下がるとストロビレーションし、エフィラを遊離させ、エフィラが成長して大人のクラゲとなります。
しかし、プラヌラから直にエフィラとなるミズクラゲがいます。毎年1~2回、この地域のプラヌラを入手し、どういう条件でエフィラになり、あるいはポリプになるのか調べていました。
今年、プラヌラがエフィラになるのかポリプになるのかは温度で決定するということが検証できました。
来年は、それを裏付けるためと、さらなる条件があるのかもしれないという実験を予定しています。
§ 2. タマクラゲとムシロガイ
タマクラゲのポリプはムシロガイの殻の上でしか生きることができません。さらに、1つのムシロガイの殻を占領しているのは1つのDNAを持つポリプです。
つまり、ムシロガイのベリジャー幼生が稚貝になる時、タマクラゲのプラヌラはこの貝殻の上でポリプになります。他のポリプがいたら戦って勝者が殻を占領します。
ムシロガイが死ぬとポリプはクラゲを出して死んでしまいます。しかし、今年は死んだムシロガイの殻に長い間ポリプが生きていました。これは同じ水槽内にムシロガイがいるせいなのかもしれません。
死んだムシロガイにいたポリプはやがて消えてしまいましたが、これが、ムシロガイが死んでからかなり経ってからだったので、水槽内の他のムシロガイの分泌液などによるかもと考えましたが、ポリプが丈夫だったのか、本当の原因はわかりません。
ムシロガイの殻の上のタマクラゲのポリプは春にはふっさふさですが、やがて枯れていまうものが目立ってきます。水槽なので冬でもそれほど水温は下がりませんが、それでも加温していないため、真冬にはポリプの姿は見えなくなります。
しかし、すべてではありませんが、翌春になるとポリプが復活するものがあります。ムシロガイの状態にもよるのかもしれません。春に復活するタマクラゲのポリプはストロンで越冬していると考えています。
実験では、タマクラゲのポリプがふっさふさの時期に、ポリプを切り取ってクリームケースに入れます。数日でポリプはストロンを伸ばし、クラゲ芽を出し、クラゲを出して死んでしまいます。
来年は、クラゲを出したポリプの容器に再びムシロガイを入れて、ポリプを生存させられないか実験してみたいと思います。
§ 3. エダアシクラゲ
エダアシクラゲ。毎年、採集者さんから送ってもらうエダアシクラゲは暗刺激で放精放卵するタイプ。もしかいたら同じ地域でも明タイプが存在するかもしれないので、成熟個体が放精放卵しなかった場合は、明刺激を与えてみようと考えていますが、今のところ、まだ明タイプはいないようです。
§ 4. カギノテクラゲ
カギノテクラゲはエダアシクラゲやタマクラゲと同じ、ヒドロ虫綱のクラゲです。しかし、毒が強いので、これで実験をしている人はあまりいないかと思います。
ヒドロ虫綱のクラゲは突然、水槽に発生しますが、なかなか長期の維持ができません。ポリプも増える時はとても増えるのですが、多くは水槽の壁面などについているので、水槽に発生した苔にやられてしまうことも多く、また、ベニクラゲなどはだんだん枯れてしまいます。
タマクラゲのことを考えれば、枯れてもストロンを維持してまたポリプが出るのを待てるのかもしれませんが、だいたいは水槽を洗うとストロンもなくなってしまいます。
今年のカギノテクラゲではストロンが伸び、ポリプも増えてきました。
ポリプの脇に付いているまん丸いものがクラゲ芽だと思われます。
水槽の壁面に付いているので、マクサに移植して維持してみようと思います。
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