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2018年6月24日 初稿
2021年2月27日 加筆

 

§1 形と名前

Pyrocystis fusiformis (ピロキスティス・フィシフォルミス)、海生植物プランクトン(渦鞭毛藻)です。

フィシフォルミスの名前は、形状に由来しています。

Pyrocystaceae科のすべての種類に共通していますが、ピロキスティス・フィシフォルミス(以降ピロキスティス)も非運動性です。鞭毛は遊走子の時だけもっています。

細胞の葉緑体は、昼間は細胞の壁に近づき、夜は核に向かって収縮するため、昼間と深夜では見た目が違います。

紡錘形の細胞の真ん中に核があり、培養容器の外からルーペで見ると三白眼がたくさん浮かんでいるようです。

 

§2 発光

ピロキスティスの飼育容器を日中に叩いたりして、刺激を与えても光ることはありません。ピロキスティスが光るのは、暗くなって数時間経過してからです。

光の色は青色です。青色は青色の光の波長が海水中で最も速く伝わるため、海洋で生成される一般的な生物発光色であると考えられています。

発光には2つの異なるタイプの生物発光フラッシュが観察されています。1つは明るくて速いのに対し、もう1つは明度は落ちますが長持ちするものです。これらのフラッシュの強度と持続時間は、一度発光してから次に発光するまでの間にセルがどれだけ充電できたかによります。

疲労したセルの回復期間は15〜60分から6時間の間で変化すると言われています。

 

§3 寿命(ライフサイクル)

ボルボックスの寿命が48時間と短いのに対し、ピロキスティスはボルボックスほど増殖のスピードは早くない・・・つまり寿命は長いといえます。

ライフサイクルは約5〜7日で、無性生殖をします。

生殖段階では、1つまたは2つの遊走子が作成され、新しい細胞になるまで親の細胞壁の内側で成長します。

やがて親の体から抜け出します。

この観察記録は「ピロキスティス2」に書いていますので興味のある方はご覧ください。

>>ピロキスティス2

 


販売

 

販売は培養フラスコ(60ml)に入れてお送り・お渡しします。培地は人工海水に栄養素と抗生物質が少量添加されています。

このまま培養してもいいのですが、三角フラスコ(耐熱ガラス製のもの)がインテリアにもなって素敵です。

輸送時のダメージを軽減するために、フラスコには満タンに入れてあります。

フラスコのふたはベントキャップといって閉蓋状態でも良好なガス交換が可能で、コンタミネーションを抑えることができるものを採用していますが、さすがに満タンではないほうがいいので、少しだけ他の容器に移すことをお勧めします。

その際に、希釈すると、増殖しても安心ですしバックアップにもなります。

この時にもう1つの容器を三角フラスコにしてもいいですね。

培養の海水の比重は現在の室温22℃で1.025(34‰)です。

 

新しい容器は、熱湯で滅菌しておいてください。

 

栓はコルク栓でかまいません。栓も滅菌してください。洗剤や消毒アルコールは厳禁です。
栓がない場合はアルミホイルでフタをしておいてください。

 

飼育(培養)はいたって簡単。

 

室内の直射日光が当たらない明るい場所に置きます。
適正温度は15~27度。
この緩やかな光で光合成をします。

 

夜は10時を過ぎたら、部屋の明かりの当たらない場所へ移動してください。
黒い紙や箱をかぶせてもいいでしょう(温度に注意)。

10時というのは、夜のサイクルを最低限確保したいためで、実際は日没に合わせるのが理想です。空調が不在時でも完備された子供部屋などがベストかもしれません。

こうして、昼と夜のサイクルをきちんと作ると、暗くしてから数時間後に刺激を与えると青く発光します。

このような習性を「概日性リズムを持つ」といいます。
微生物なのに昼夜がわかるってすごいですね。

夜、暗くできなくても、特に弱るわけではないので、あまり神経質にならなくても大丈夫です。

ただし、夜に分裂をするようなので、暗い時間がないと殖えないかもしれません(未確認)。

面白がってしょっちゅう光らせていると弱ってしまいます。
また、発光で出た物質で水質が悪化します。

 

夜中に目が覚めた時に、ちょっとたたいてみる・・・・・くらいが長く培養するコツです。殖えてきたなと思ったら、植え継ぎをしてください。

 

植え継ぎは・・・

新しい容器をもう一つ用意して、そこへ飼育している分を半分ほど注ぎ入れ、海水をいれます。
もとの容器にも海水を注ぎます。

本来の意味の植え継ぎとは違うので希釈というほがいいかもしれません。

細菌にはめっぽう弱いので、コンタミには十分注意をしてください(容器は滅菌されたものを使うか、再利用の場合は必ず滅菌してください)。

栄養分があったほうが長期間維持できますが、適度な温度とたっぷりの光を確保できれば不要です。

きらら舎実験室でも栄養分・抗生物質なしの容器でたくさん培養できています。

 

きらら舎実験室

屋上にぽつんと立つ小さな小屋です。

ピロキスティスとボルボックス容器は西側の窓辺に置いてあるので、日の出から明るくはなり入りますが、午後からでないと窓越しの光はあたりません。また、西陽は強すぎるので温度が上がらないように注意が必要です。日没後も午後6時までしかいないので、その後は暗くなります。

以前屋上実験室がない時は自室の南向き窓辺に置いてありました。遮光カーテン越しの光でしたが、ある時、窓辺の温度が上がりすぎて1日で死滅しました。

 

Categories: 生物室

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