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試験的にウニの受精発生をご自宅で観察できるキットを作っています。

 

今まで、理科室カフェのワークショップではウニの放精・放卵から行っておりましたが、ウニの状態が悪かったり採集から実験までに日にちがあってウニを生かしておけなかったり、かといって、水槽に入れておいたら放精・放卵してしまったりと、なかなか難しいことも多くありました。

お客さまをがっかりさせることがなく、確実にウニの受精発生を実際に見ていただくには、一番のギャンブル的な部分を排除するのがよいだろうと思い、「あとは受精させるだけ」という状態でお届けしたいと考えました。

とはいえ、できるだけ早く受精させていただくこと、
ちゃんとした手順で行っていただくことが条件となり、まだまだ試験段階ではあります。

受精キットについてはページ末に少し説明を書いてあります。
特に必要な情報ではないので、読まれなくても実験はできます。

 

ウニ発生ワークショップ/きらら舎

 

 

次回は 3月29日に受精させたものを使います。

前日の採集でウニが採れて、卵を持っていた場合にセットします。

当日のワークショップ終了後にセットを作ります。
採卵成功した場合には3/29夕刻にカートに在庫を入れます。

ご注文後、3/30正午までにご入金いただくか、代引きでご注文ください。

3月29日午後5時頃にご来店いただき、店頭受取でもOKです。
この時点で採卵できていなかった場合は、前日に受精させたポケット飼育キットのみのお渡しとなります。
前日の採集や前日に受精できていたかなどについてはツイッターで状況をご確認ください。

発送は3/30の12時半頃となります。ゆうパック最早着(時間指定なし)です。
受け取れなかった場合は再配達のお手配をお願いします。

時間経過に比例して生存率・受精率が下がります。早めの受け取りをお願いします。
到着時刻は発送後の夜に問い合わせ番号を送ります。

 

【セット内容】

・海水(抗生物質含)に入った未受精卵(60ml培養フラスコ入)
・海水入り60ml培養フラスコ
・ドライスパム(小さなチャック付きビニール袋入)
・スポイト2本
・ホールスライドグラス
・受精卵(60ml培養フラスコ入)
・海水の素(500ml用)
・キートセラス(点眼容器入)
・つまようじ

【実験の手順】

セットには説明書の同封はありません。以下を参考に実験を進めてください。
顕微鏡はモバイル顕微鏡使用を想定しての説明となっています。
実験を行う室温は20℃くらいが目安です。
なお、到着してすぐに実験ができないときには冷蔵庫(野菜室)で保管(適温15℃)して、できるだけ早めに受精させてください。
冷えすぎると死んでしまうので、断熱材などでくるんだり発泡スチロールの容器などに入れたうえで野菜室管理をしてください。
ただし、到着すぐではない場合は成功率はかなり下がります。

 

  1. 未受精卵をスライドガラスの上にとって顕微鏡(※)で観察します。
    未受精卵は底にたまっているので1~2個だけスポイトで吸い取ってください。
  2. ピントを調節して未受精卵の撮影をします(まん丸いものが健康な卵です)。
  3. 別のスポイトで海水入り60ml培養フラスコの海水を取って、ドライスパムの入っているビニール袋に1~2滴たらし、白濁液を作ります(下の写真参照)。海水は袋の口を開けて、真ん中あたりにある精子にかけるようにしていれて海水と精子が混ざるようにします。精子はほんの少しでも受精します。また、ドライスパムはたくさん採取できないので、ごくわずかを入れてあります。何も入っていないように見えますが、袋の中央部分に付着させてあります。これで億単位いると思います。
    見えづらいと思いますが、海水を入れてビニール袋の中を洗う気持ちで混ぜれば白濁液ができます。
  4. さきほどのスポイトの先に白濁液をつけてスライドガラスの上の卵が含まれている水滴の端に付けます。
  5. 卵の位置がずれたら早急に調節して、卵に精子がくるのを観察&撮影します。
    水滴の端に付けるのはできるだけ水滴を揺らさないためです。精子が水滴の端っこから卵にたどりつくまでしばらく時間がかかるかもしれません。小さなものが数個、卵に集まってくるのが確認できればOKです。
    1分待っても1つも来ない場合は再度精子を入れてください。
  6. 最初の精子が卵に突入すると、そこから受精膜があがり、他の精子はそこから入っていけないことがわかります。
    動画で撮影してもよい記録となります。
  7. 受精の観察と撮影ができたら、残っている未授精卵に精子を入れて受精させます。
    精子はほんの少しでよく、入れすぎて失敗する場合があります。今回は生存精子の数が少ない可能性もありますので、白濁液1滴くらいを入れてみてください。
  8. その後、上手く受精ができた場合は、人工海水を作って飼育を継続してください。

 

ドライスパムとは

放精させた精子そのまま、つまり海水などで希釈していないものです。
海水で希釈すると動いてしまうので、数時間も生きられません。

ビニール袋は濡れたキッチンペーパーに包んでいます。下の写真は海水を入れたところ。

赤い〇の内側くらいにドライスパムが付着しています。これだけでも億単位でいると思います。

袋内部を洗う気持ちで入れた海水を動かしてください。

水がわずかに白濁したことがわかると思います。

ウニ発生実験キット/きらら舎

 

未受精卵や受精、卵割を観察するには180~250倍のモバイル顕微鏡が最適です。

お勧めは200倍のアナトミー(Anatomy ¥4,400 税込)です。ない方は180倍のティシューTissueでもOKです。
スライドグラスなど、実験に必要なものも合わせて、Mobile Microscope Laboratoryにてご購入ください。

受精キットは受精の成功を保証するものではありません。
うまくいかなかった場合も受精卵(ポケット飼育キット)をお楽しみください。

今回お送りしたポケット飼育は、原腸胚初期でした。

 

  1.  
  2. ウニ発生ワークショップ/きらら舎

【タイムスケジュール予想(20℃)】

受精

受精後数分で受精膜が上がる

受精後約90分(1時間30分)で2細胞期

受精後約150分(2時間30分)で4細胞期

受精後約210分(3時間30分)で8細胞期

16細胞期

桑実胚期

受精後約10~12時間後 孵化(胞胚期)

原腸胚
最初は容器の外から見ると(光によって)黒っぽい丸い粒に見えます。

ウニ発生ワークショップ/きらら舎

やがて、原腸貫入が起こります。

ウニ発生ワークショップ/きらら舎

貫入が始まった部分が肛門になります。

ウニ発生ワークショップ/きらら舎

消化器官が伸びて、やがて反対側に到着して口ができます。

 

プリズム幼生

 

4腕プルテウス(適正密度: 12500 個/250ml)

ウニ発生ワークショップ/きらら舎

6腕プルテウス(適正密度:で 1250 個/250ml)

8腕プルテウス(変態時の適正密度: 2~3 個/10ml)

ウニ発生ワークショップ/きらら舎

 

【プルテウスのポケット飼育】

受精させた容器はそのままポケット飼育として飼育します。

受精がうまくできなかった時のためにすでに受精させたものも別の培養フラスコで送っています。

ご自宅で受精させたものと時間差があるので、こちらも観察してみてください。

受精から48~60時間くらいで4腕プルテウスになります。容器の外側からみて二等辺三角形のものがあったらそれが4腕プルテウスです。

 

 

水換え

飼育は成長が進めば進むほど密度を下げる必要があるので、水換えというより、そのタイミングで希釈していくことをお勧めします。

 

餌やり

4腕プルテウスになったら、早速餌を与えてみましょう。

点眼容器に入った褐色のものが餌キートセラス(浮遊珪藻)です。

沈殿しているので、上下させてよく混ぜてから、チューブの中に1滴たらしてください。

チューブにたらしたらふたを閉めてゆっくり上下させて全体にキートセラスがいきわたるようにしてください。

餌を与えて少ししてから顕微鏡で観察すると、真ん中の丸い胃の部分はキートセラスの色になっているのがわかります。

また、一緒に吸い取った水の中に細かい粒が浮かんでいるのも見えるでしょう。これがキートセラスです。

餌は2~3日に1回与えます。

保管は冷蔵庫の野菜室で行ってください。

 

観察

容器の外からルーペで観察します。

スポイトで吸い取って、1滴をスライドグラスに落とします。

スライドグラスはホールグラスが使いやすいです。

採った水滴にプルテウスが入っているかをルーペで確認し、その位置を記憶して、スライドグラスを置きます。

観察が終わったら飼育容器に返してあげましょう。

 

 

成長のスピードは温度によって変わります。暖かいほどスピードは早まりますが、経験上、あまり暖かくないほうが生存率が高いような気がします。

ガンガンに暖房が効いている部屋や陽があたって暖かくなる場所をさけて飼育してください。

40日くらいでウニに変態します。

8腕プルテウスを観察していって形がだんだん丸っこくなり、原基が形成されてきたら、変態セットに移します。

原基などについては別途、きらら舎一号館にて説明ページをアップします。

 

変態セットはご自分で作られてもかまいませんし、販売もしています。

 

 

【受精キットのこと】

わたしは文系だったので、高校でもウニの受精実験は体験していませんでした。
これをカフェのワークショップでやってみたいなと思い、現在に至っています。
受精実験用のキットはお茶の水女子大が教育機関向けに配布を行っていました。

きらら舎は教育機関ではないので、もちろんこれにあやかることはできなかったので、ウニの採集業者からウニを購入する(勝手に採集すると漁場以外でも密漁となるため)ところから始めました。

カフェで実験を行う際、採集業者が毎日採集に行くわけではないので、実験日にウニの状態がよくないことも多くありました。

それで、ご自宅で実験ができるキットを作ってみようと思いました。

これならば、前もって予約してきていただく必要はなく、採卵ができた時点で注文を受け付け、ご自宅で受精実験をする時間を1時間ほど取っていただければよいので、いろいろな方に実験していただけると考えました。

しかし、現在はまだ試験段階です。

と、いうのも、お茶の水女子大では学校単位で実験用の精子を送るのですが、きらら舎ではお一人様分だけを送ります。
また、一度もやったことがない場合は難しいかもしれません。

早めに動画などを用意できればと思っています。

ただ、放精・放卵も体験していただきたいことなので、カフェのワークショップのほうにもご参加いただければ幸いです。

 

Categories: 生物室

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