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今、飼育・培養している生物の中で一番気を配っているのがボルボックスです。

過去の記事を読み返してみると、いろいろやってたなあとあらためて思います。

2022年。今年は耐久卵に出会うことができました。

耐久卵の作り方はこのページ末尾に!

 

 

現在は、より長く元気に維持できる飼育水の実験をしています。

途中までレポートを書いていましたが、試薬をたくさん買い込み、本気でボルボックス飼育水の開発を始めました。

そのため、今後の実験結果は企業秘密です(笑)

 

 

ボルヴィックがあんなに信じられていて、わたし自身も、かなり買い占めてしまっているのですが、ボルヴィックには欠点がありました。

やはり不足成分があり、それを補わないと、長く維持はできないようです。

また、いろいろな飼育水を試すうちに、もし持っている種が Volvox. carteriならボルヴィックでは全くだめだということもわかりました。

V. aureusにはそこそこ合っているのですが、それでもだんだん小さく、白っぽくなってしまいます。この予兆の段階で植え継いで命をつないできたわけですが、植え継ぎのスパンをもう少し長くしたいし、緑色&大きな粒を維持したい!

 

実験の結果、ボルヴィックベースのものよりもよい飼育水を作ることができました。

 

 

ボルボックス/きらら舎

 

 

まずは、このボルボックス飼育水の販売を開始しました。商品名として「ボルボックス元気水」としました。

販売しているボルボックスが V. aureus なので、これはそれに適した水です。

 

 

ボルボックス元気水/きらら舎

ボルボックス元気水/きらら舎

500mLと2Lがあります。2LはGW後に発売しますが必要な場合は作れますので、お問合せください。

 

 

ボルボックス元気水 No.01(500ml中)

ナトリウム 0.42mg

カリウム 0.04mg

カルシウム 0.94mg

マグネシウム 0.24mg

複合ビタミン 0.1mg

pH 7.3

 

ボルボックス元気水 No.02(500ml中)

ナトリウム 1.3mg

カリウム 0.5mg

カルシウム 5mg

マグネシウム 0.3mg

複合ビタミン 0.1mg

pH 7.7

 

両方とも、太陽光用と人工光用があります。太陽光用には企業秘密な成分を添加していません。これは二層培地がよしとされている理由に基づき添加しているものなのですが、太陽光だと栄養分が多すぎて、藍藻のコンタミなどが起こるためです。

それほど太陽光は強くない場合は問題ないと思います。

 

まだまだいろいろ実験中です。

環境にもよると思いますので、複合ビタミンだけの販売もします。

複合ビタミン/きらら舎

チアミン(ビタミンB1)・ビオチン(ビタミンB7)・シアノコバラミン(ビタミンB12)配合 要冷蔵

5mlの目薬壜×2本セットです

 

発送について

元気水500mL 1本の場合は普通郵便でも送れます。

2本までならばレターパックプラスで送れます。

3本以上はゆうパックをご利用ください。その他を選択してもゆうパックに変更して確定メールを送ります。

ビタミン剤は何セットでも普通郵便で発送できます(夏期には保冷剤と共に送ります)。

 

>>ご注文

 


 

培養と耐久卵

今回販売しているボルボックス元気水はきらら舎で販売している Volvox aureusで実験してよい結果が出た水です。

ただし、この水で培養している場合、耐久卵はできづらいです。その代わり大きくて緑色の濃いボルボックスになります。

一か月くらいのスパンで新しい水に、上のほうにいる元気なボルボックスを移植してください。もちろん、一か月以上経過しても元気な場合は植え継ぎ不要ですし、その前に弱ってきたら植え継ぎしてください。

植え継ぎをして残った水で耐久卵づくりをします。

耐久卵づくりには酢酸ナトリウム(※)で性誘導します。温度も下げます。

 

※ ボルボックスをご購入いただいた方にはお分けします。ボルボックスご購入時に備考欄に「酢酸ナトリウム希望」とお書きください。ただし、合わせる水によっては誘導はできない上に、バクテリアが繁殖するのでバックアップのある時に実験してみてください。

 

基本的にボルボックスは冬を迎えた頃に耐久卵を作って春を待つので、作るのはその季節が適しています(温度を下げるには屋外に出します)。

 

V. aureus は雌雄異体(ホモタリック)です。

通常はオスメスとも無性生殖で殖えています。しかし、性誘導をされると雌は卵をオスは精子束を持ち、有性生殖で耐久卵(接合子)を作ります(一旦性誘導された個体は再び無性生殖をすることはありません)。

接合子は黄色~茶色い粒です。

ボルボックス/きらら舎

V. aureusのいいところは、これが結構すぐに孵化することです。

しかし、酸性に調整した水ではボルボックスは元気ではなくなりますし、耐久卵を作った親ボルはもう無性生殖はせずに死んでしまうので、耐久卵ができなかったこと、またはできても孵化しないことを考えて、必ず無性生殖株を残したうえで、耐久卵づくりをしてみてください。

 

ボルボックスのオスとメス

 

V. ferrisii や V. globatorなどは雌雄同体なので、性誘導されると同一個体の中で精子と卵ができます。

V. aureus やV. carteri は雌雄異体のボルボックスです。

V. aureus は雌雄異体のホモタリック。

V. carteri は雌雄異体のヘテロタリック。

 

ホモタリックだったらオスメスの区別はあっても、無性生殖ではオスメス両方の娘群体を作りますので、飼育水には常にオスとメスがいることになります。

しかし、ヘテロタリックのボルボックスは無性生殖でメスならメス、オスならオスの娘群体しか作らないので、1粒から培養したものの場合は、オスかメスでしかないということになります。

オス、メスを分けた V. carteri は別々に培養しているより混ぜたほうが調子がよくなります。気のせいかもしれないですが。そしてオスよりメスのほうが培養しやすいです。これもきらら舎環境との相性なのかもしれませんが。

 

無性生殖を繰り返すと結局細胞は老化するのだそうです。クローンのテロメアが再生されないで引き継がれるのと同じですね。

だから耐久卵を作って孵化させることはとても大切なのです。

ちなみに、ヒドラは無性生殖・自家生殖で殖えた個体のテロメアは再生されるため、永遠の命を持つと言われています。

 

 

 

Categories: 生物・植物室

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かよこ さとう ()

Website: https://kirara-sha.com/

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