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何十年も前から、いろいろな生物を飼育・培養しています。原生動物では、ゾウリムシやミカヅキモ、ミジンコ、ワムシなどいろいろいます。しかし、ボルボックスはなんどチャレンジしても全滅させていました。

学習塾をやっていた頃には、ボルボックスを生物教材の会社から購入したりもしました。

採集したものは目視とパスツールピペットで数個抜き取り、洗浄してから培養をしましたが、どうしてもすぐに他の藻が発生してしまいます。

生物教材会社は、最初から観察用に純粋培養したものを販売していますので、コンタミはないのですが、それでも1か月が最長で、実際には1週間程度で植え継ぎを余儀なくされていました。生物教材会社の方が、親切に培養方法も教えてくれて培養キットまでくださったのですが、その方法ではまったく維持することができませんでした。

それで、再度、自己流に戻して今に至ります。さらに日々試行錯誤しています。

 

 

以下、記事が古くなったので、削除して更新しました。

 

赤玉土を使った二層培地。

石灰石とハイポネックスだけの培地。

試薬を使った培地。

・・・・・いろいろ試した結果、現在はボルヴィックのみで培養を行っています。

生体販売会社もなくなってしまったので、頻繁な植え継ぎで培養を維持しなければなりません。

 

ボルボックス/きらら舎

 

昨年は、ボルボックス容器に変なものが発生していました。

コンタミというより、ボルボックスが死んで固まった感じなのですが、通常の培養だと小さくなって消滅しまうことが多く、白い殻が沈んでいることがあっても、ボルボックスが緑のまま塊になることはありませんでした。

培養液は常に試行錯誤を続けていた時期だったのでそのせいだったのかもしれません。

ボルボックス一個体の寿命は48時間です。
その間に条件がよければ16個の娘細胞を放出します。

単純計算では 1週間 24×7=168時間 168÷48=3.5 なので3回の娘細胞放出が行われるとして、

1×16×16×16 = 4096

1個体は約4000個体となるわけですが、実際には環境がよいと約 5 倍といわれています。

夏の間は温度の上昇にさえ気をつければ、特に問題なく殖えていきますが、朝夕の寒暖差が大きくなると一気に増殖が止まります。

エアコンをつけなくても日中過ごせるようになり、朝夕に窓を開けると肌寒く感じる・・・・・という時期が危険です。

 

 

販売は真夏真冬以外の発送では37mlの試験管で行っています。

爆増時期には500mlペットボトル密度も高めの満タンでの販売をします。

 

通常、植え継ぎは新しい培地にパスツールピペットなどでボルボックスを移します。古い培養水ができるだけ入らないようにして数個体を移動させます。

さらに、慎重に行う場合は、ボルボックスをきれいな水で洗う場合もあります。

希釈というのは、雑なやり方ですが、楽ちんです。爆増時期に行います。

まず、新しい培地を用意し、そこに古い培養水ごとボルボックスを少量入れる方法です。

 

液肥は他の藻の繁殖も助けます。弱いボルボックスは他の藻に、すぐに駆逐されてしまいます。栄養より光というスタンスで培養したほうがよいと判断し、現在は、頻繁な希釈と太陽光頼みの培養です。

コンタミ防止を優先して、肥料やPH調節用の石灰石などは一切入れないようにしました。

 

加筆(2021年9月23日):現在は培地でも培養しています。藍藻が殖える場合は抗生物質をわずかですが投入し、バックアップを維持させます。

 


 

ボルボックスのルーツはクラミドモナスという単細胞藻類だといわれています。

約2億年前から多細胞化が始まり、わずか10μmほどの単細胞クラミドモナスから、シアワセモとも呼ばれる(※)4細胞のテトラバエナ(20μm)に進化しました。

そして細胞数8または16のゴニウム(50μm)、16または32のユードリナ(60μm)、64または128のプレオドリナ(200μm)、そして細胞数500以上のボルボックス(300μm)と進化しました。

ボルボックスは以前はクラミドモナスの集合であると考えられていましたが、現在では別のものとされています。

 

プレオドリナ/きらら舎

プレオドリナ

プレオドリナでは、内部に娘群体はありません。ボルボックスの体細胞のように丸い細胞が表面に一層並んでいます。

しかし、よくみると大きさが違います。

上の写真では上部と下部では細胞の大きさが異なっていることがわかると思います。

小さな細胞が体細胞で非生殖細胞。大きなものが生殖細胞となります。

 

 

ボルボックスは各細胞が全体の部分として機能する構造を持っています。これは多細胞生物の特徴です。発生過程で分裂直後の娘細胞同士はパイプ状構造(原形質間架橋)で互いに連絡しながら多細胞体を形づくることも解明されています。

日本で確認されているボルボックスのうち、V.aureus の細胞質連絡は1~3本で細く、V. carteriに細胞質連絡はありません。

【加筆:2021年9月23日】

V. globactorと、最近新種であることがわかったV.ferrisii、V.kirkiorumは、太い細胞質連絡をもつボルボックスで、ボルボックス属の中の4個のサブグループ(属と種の中間の分類階級の「節」)のひとつのボルボックス節に相当し、Smith (1944) は “Euvolvox “ と分類しています。

このグループだけを「ボルボックス属」にすべきという考えもあります。

 

※命名はボルボックス目研究の第一人者である新垣陽子さん。新垣さんが大学院生の頃、約2億年前に4個の細胞が統合され、そのまま現在まで幸せにも生き残ったテトラバエナを生きた化石として「シアワセモ(和名)」と命名しました。

 

専門的なゲノム解析での研究は専門家に任せておき、自分の興味のあるところだけを突き進むと、結局は、安定した長期培養と、楽しい観察、きれいな写真の撮影というところに行きつきます。

【加筆:2021年9月23日】

2021年9月からは、ボルボックスの種の収集と、休眠卵を作り採取する実験を開始しました。

現在、所有しているものは V.aureusなので、V. carteri、V. globactor、V.ferrisii、V.kirkiorumを探したいと思います。

 

 

 

 

Categories: 生物・植物室

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かよこ さとう ()

Website: https://kirara-sha.com/

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