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【温かい生き物はもう飼わないと決めていたけれど】

 

物心ついた時から、家にはいろいろな生物がいました。

独り暮らしを始めてからもそれは変わらなかったのですが、猫がずっといたので、ハムスターと鳥は飼えずにいました。

 

生き物と暮らすのに、一番大切なものは、彼らの命が尽きた時に耐えられる心の強さと、病気や怪我をした時に冷静に対応できる精神力と経済力。

数年前に猫が逝ってからは、もう新しく飼わないと決めていたのに、結局、へその緒付きで落ちていたら拾うしかなく、

その後、長年連れ添った猫が逝き、今はへその緒を切るところから育てた猫と、年老いた犬がいます(カエルやクラゲなどはカウントせず)。

でも、もう自分の年齢を考慮すると彼らがいなくなっても次の子は迎えないでしょう。

それに、心の力も弱まってきたので、温かい生き物は新しく飼わないと決めていました。

 

 

でも、ずっと気になっていたものがあり・・・・・それはヒメウズラ。

ウニやメダカの受精発生を観察しているうちに、鳥の卵を孵化させてみたいという好奇心にかられていて、とうとう、有精卵と孵卵器を購入してしまいました。

きらら舎実験室(屋上)には猫は来ないのです!

以前いた猫たちはお行儀よく屋上で遊んでいましたが、今の子(琥珀)は暴れん坊の野生児で信用できないため(柵の向こうの電線に止まっている雀にダイブしそうだったり・・・)屋上には連れてきません。

なので、実験室でなら鳥を飼える!!

 

 


【ヒメウズラを孵化させてみよう】

 

有精卵は、まず、わざといろいろ混ざったものを買いました。

産みたてではないものも含まれるようなので、10個が全部孵化することはないでしょう・・・・・が、そんなにたくさんいても大変だし、孵化するものとしないものの両方を見てみたかったのです。

さらに、1ペアの卵だと兄弟になってしまうので、いろいろ混ざっていたほうがいいかなとも考えました。

しかし、販売者の居住地が遠いことに、あとから気づき、届くまでにかかる時間と移動距離が長いことを考慮すると、孵化率はさらに落ちるでしょう。

それで保険的に都内の販売者から7個。追加で買いました。

 

野鳥のスズメだと卵の孵化率は6割前後だといいます。また、飼育されているニワトリも、交尾から産卵、孵化方法などの厳重な管理を行っても、人工孵化率は6割前後だそうです。この6割というのが鳥の孵化の平均値なのかもしれません。

孵化しない原因には、2つあります。一つは無精卵、もう一つは中止卵です。

今回は無精卵に加えて、産まれてから日数が経過しているものがあるとのことなので中止卵も多いでしょう。

有精卵と中止卵の違いも見てみたいと思います。

ちなみに、卵は産まれてから約1ヵ月間は、低温保管(15℃くらい)をすれば生存しています。冷蔵庫ではだめです。

温めると発生が始まります。

ヒメウズラはあまり抱卵をしないと言われていますが、ちゃんと子育てするメスはいくつか産み貯めてから抱卵を開始するそうです。

もちろん、産み落とされてすぐに孵卵器に入卵すれば孵化率が高いのはいうまでもありません。保管期間に比例して孵化率は下がります。

 

 


 

 

【ヒメウズラの孵化準備】

2021年 9月9日(木)

 

まずは孵卵器が到着しました。

組み立てて、湿度を保つための水槽に水を入れます。

水槽には5つの仕切りがあり、第一段階の1~7日間は真ん中の水路にだけ水を満タンにします。

電源を入れ、温度設定をします。ヒメウズラは37.6℃。

アラーム設定もカスタマイズができます。

工場出荷時は+- 各1℃で設定されているようなので、これはこのままでよしとしました。36.6℃をきるとアラームがなります。逆に38.6℃を超えるとアラームがなります。これはサーモスタットが壊れた場合だと思います。

 

 

孵卵器/きらら舎

 

左上にLEDというボタンがあります。

その横のくぼみに卵を置いて、検卵するようです。

LEDというボタンを長押しすると転卵チェックができます。

デフォルトでは2時間に1回ひっくり返すとありますので、これもこのまま使用することにします。

 

 

【孵卵器と転卵について】

孵卵器は自作ができます。温度と湿度を一定に保てて、せめて4時間に1回は転卵をすれば、容器は何でもいいわけです。

転卵は胚が卵膜へ癒着することを防ぐために行います。卵を孵卵器に投入後、15日目まで、卵の上下は変えずに横向きに45度ずつ2~3回転させます。

一回に回す回数が多かったり、1時間に1回以上行うと、血管を傷つけたり、振動で胚の成長が停止してしまいます。

とはいえ、これを確実に行うのはとても大変なので、孵卵器というものがあります。英語のインキュベーター(Incubator)を使う人もいます。価格の差も大きく、安いものには転卵装置がなかったり、あっても手動でやらなければならないものだったりします。

また、手軽にヒメウズラの孵化を体験したい場合は、リトルママという孵卵器をレンタルしているところもいくつかあります。卵付きだったりもします。

最初はリトルママにしようかと思ったのですが、これには7つしか卵をセットすることができません。最初に買った卵が10個だったので、違うものを購入しました。

あとから買った卵が7つセットだというのは、きっと、リトルママに合わせているのでしょう。

そして、実は、手動転卵をしなければならない安いマシンも買ったのです(笑)

理由は孵化の動画を撮影するため。たくさんセットできる孵卵器はカバーが透明ではないのです。

孵化の2日前から転卵の必要がなくなる(むしろしない方がよい)ので、卵が動き始めたり、ひびが入ってきたら、撮影したい卵は保温と保湿だけする、こちらの孵卵器に移します。

 

 


 

 

2021年 9月10日(金)

 

卵が到着しました。

すぐには孵化器に入れず、12〜24時間ほど冷暗所に定置します。これは運搬中の振動で撹拌された卵の中の空気を落ち着かせるためです。

「卵が到着したらすぐにセットせよ」と書かれているWEBサイトもありますが、最初の10個(実際にはおまけ1つで11個でしたが、1個に傷があって結局は10個)は定置期間を設けました。

実験室内の、17℃に設定された冷温庫に入れました。

冷温庫の温度は設定した温度に常に一定に保たれるわけではなく、16℃~20℃で変化します。とりあえずは15℃以下にならず、20℃以上にならなければよしとします。

準備時間では、卵の尖ったほうを下に向けて保管します。鈍端部(まるいほう)には気室と呼ばれる空気が貯まるスペースがあるので、そこを上に向けると卵の中身が安定するのです。

 

ただし、これも諸説あるようなんで、検証します。

遅れて届く7つ。3つを低温準備期を設け、4つは届き次第入卵(孵卵器にいれる)予定です。

 


 

2021年 9月11日(土)

 

さて、到着から15時間ほど経過したので、余熱しておいた孵卵器に卵を入れてみました。

孵卵器の温度は37.6℃をキープしています。

 

ヒメウズラ/きらら舎

 

10:00 に保温開始。

予定では17日(9/27)で孵化します(後日、海外のWEBサイトを見ると19日とありました。今回は19日で孵化したので、37.6℃だと入卵した日を1日として19日目に生まれるようです)。

 

【卵は洗う?】

ちなみに、孵卵器に入れる前に卵を洗うと感染症を防ぐことができるという説と、卵は洗ってはいけないという説があります。特に糞などが付いていない限り、わたしは洗わない派です。

糞が付いている場合は、除菌力のあるハンドソープを薄めて(200mlに対して5プッシュくらい)、泡立たないように混ぜ(あるいは泡が消えるのを待ち)、ティッシュに付けて拭き取ります。

 

 


 

 

2021年 9月12日(日)

 

後からの卵、7個が届きました。

これは産みたてで送ってもらえたようです。

予定どおり、4つを定置期間なしでそのまま入卵し、3つを17℃で12~18時間定置してみます。

後からの卵4つは右端の列に入れました。

 

ヒメウズラ/きらら舎

 


 

2021年 9月13日(月)

 

17℃の冷温庫に15時間安置したものを入卵しました。

一番左の列です。

 

 

ヒメウズラ/きらら舎


 

検卵

するのをやめました。

温め続けると無精卵が腐って爆発する可能性があるのですが、確実に見分ける自信がなく、あきらかに発生が進んでいるものはよしとしても、わかりづらいものをどうすればいいかが難しいので、いっそのこと、検卵をしないという結論に達しました。

 

温めから17日目が予定日。

入卵日を1日目とするなら予定日は27日。

あと2日なので、転卵を中止する時期です。

・・・・・明日26日夜明け前に、自動転卵装置が付いていない孵卵器に最初の卵を移動しました。

 


【ヒメウズラの孵化】

 

2021年 9月28日(火)

 

26日に最初の卵のうち7つを移動しましたが、予定日を過ぎても孵化する気配はありません。

大きな孵卵器のほうも転卵を止めました。

観察用孵卵器に移動した卵の1つにだけ小さな傷がついています。

 

ヒメウズラ/きらら舎

 

しかし、その後、変化は起こらず、音もしなければ揺れもしません。

実験室では、棚にある菌糸びんのニジイロクワガタの幼虫が容器をかじるカリカリという音しか聴こえません。

 


 

2021年 9月29日(水)

深夜の3時に様子を見に実験室に行っても、卵たちに変化はありませんでした。

やっぱり、産みたてです!という卵を近県にお住まいの方から買わなかったのが敗因かなあとか、移動してきた卵を落ち着かせるために冷温庫に入れるのは間違いだったのかなあとか、考え始めました。

そして、全く孵化しなかったら、どのタイミングでどうしたらいいのか・・・・・考えていました。

 

夜明けと共に実験室にやってくるとあるはずの場所に卵がありませんでした。

見ると、卵入れではないところに落ちてる・・・ということは孵化した?

 

1号 29日生まれ・入卵日 9/11・・・19日目での孵化

ヒメウズラ/きらら舎

孵卵器の穴にはまっていた1号

ヒメウズラ/きらら舎

ヒメウズラ/きらら舎

 

卵入れの隙間にある穴に落ちて頭だけだしているヒナがいます。1号と名付けました。羽は黄色いみたいです(濡れているのでよくはわからないけれど)。

 

2号 29日生まれ・入卵日 9/11・・・19日目での孵化

ヒメウズラ/きらら舎

ヒメウズラ/きらら舎

もう1つ、割れて空になった卵殻があります。しかし、ヒナの姿が見えない・・・と思ったら、このヒナも穴に落ちていました(この孵卵器だめですね)。

1号のように頭も出していなかったので、わかりませんでした。

こいつは2号。羽には茶色が混ざっています(その後茶色の縞模様があることがわかりました)。

2羽ともまだ羽が濡れています。本来であれば乾くまで孵卵器の中に入れておくほうがよいのですが、1号は穴から飛び出て、他の卵を蹴散らして歩き始めました。

2号も穴にハマったままにはしておけないので、2羽を、用意してあったおうちに移動しました(2日前から温めてスタンバイ)。

 

孵化途中で転がされると、死籠りという状態になって生まれてこれないのだそうです。怖い言葉です。先に孵ったヒナに蹴飛ばされることも、その原因の一つです。

 

スタンバイしておいたヒヨコハウスはひよこ電球の辺りでは38℃くらいで、手前の遊び場は31℃です。サーモスタットは38℃に設定しています。

2羽はひよこ電球の下に集まっています。寒いのかな・・・。(その後、羽毛が乾くとひよこ電球から離れていました)

ひよこ電球(右)と反対側(左)の下にはハムスター用のパネルヒーターも置いてあります。

手前には餌と水。

 

こうして、最初に購入した11個の卵のうち、1つは傷がついて割れていて、残りの10個のうち、まず2羽が孵りました。残りの卵のうち、あと1つに、傷ができ始めました。

 

ヒメウズラ/きらら舎

7:18

 

ヒメウズラの卵は入卵した日を1日目と数えて17日目が予定日です(あとから海外のWEBサイトでは19日という記載が多いことを発見)。

発生のスピードは温度に比例するのは、鳥でもウニでも同じようで、孵卵器の温度が低いと日数がかかり、高いと早く、37.5~37.8℃が理想とされています。孵卵器は37.6℃設定でした。

しかしこれは予定より36時間遅く、残りの卵も孵化した場合は2日以上遅いことになります。

入卵して20日を過ぎたら諦めましょうと書いているWEBサイトもあります。

見極めって難しいですね。

 

ヒメウズラ/きらら舎

ヒメウズラの卵はウズラ(ナミウズラ)の卵よりさらに一回り小さく、親指の先ほどの大きさです。

ここから出てきたヒナはさらに小さく、孵りたては体全体でも小指の先ほどでした。

 

用意してあったおうちにいれると2羽の体は少しづつ乾いてきました。

羽化した昆虫がみるみるうちに大きくなっていくように、ヒヨコはなんだかどんどん大きくなります。

羽が乾いてきて膨らんできているという以上の膨張感。

 

 

衣装ケースは奥にヒーターエリアがあって、そこにいるので、覗き込まないと見えません。

床に寝そべり、覗いていると、1号と目が合いました。

すると、ピーピー鳴きながらこちらに走ってきて、出せと言わんばかりに動きまわっています。

人間がケースから離れると、奥のヒーターエリアに戻り、ふわふわタオルを切って結んでおいた隠れ処に潜り込んでいきました。

4号 29日生まれ・入卵日 9/11・・・19日目での孵化

 

3号は殻の小さな破片が落ちて中のヒナの体も見えるようになったにもかかわらず、先に他の卵が孵りました。

ヒメウズラ/きらら舎

ヒメウズラ/きらら舎

19:38

 


 

2021年 9月30日(木)

 

1号、2号が孵った時に、卵の2/3周ほど、嘴打ちのヒビが並んでいるものがあったので、次に孵化するだろうと3号と名付けました。

ヒメウズラ/きらら舎

一晩経過。

3号は孵化していませんでした。

自分で卵から出てくることができないヒナには問題があることが多いはず。

なにかしらのトラブルがあるから出てこれないわけで、これを人間が無理に誕生させてもいいのだろうか。

難しい問題です。

言葉だけのやり取りで、この質問を投げかけられれば、間違いなく、「人間は手を貸すべきではない」と答えると思います。

しかし、眼の前には卵があり、中からヒナが見えていて、軽く叩くとピーピーと鳴くのです。

結局、孵化介助をすることを決めました。

この件については、長いので、別のノートに書いています。  >>人工孵化とペローシス

 

 

3号 30日生まれ 入卵日 9/11・・・21日目での孵化

ヒメウズラ/きらら舎

ヒメウズラ/きらら舎

 

午後にはペローシスは完治して、普通に走ったりジャンプしたりできるようになりました。

体重を量ってみましたが・・・・・でかいです。

もしかすると大きすぎてうまく出てくることができなかったのかもしれません。

 


2021年 10月1日(金)

 

この日の朝は孵化ラッシュでした。立て続けに3羽が孵りました。

 

5号 1日生まれ 入卵日 9/13・・・19日目での孵化

 

ヒメウズラ/きらら舎

9:30

ヒメウズラ/きらら舎

この子もペローシスでした。

趾のマッサージとテーピング代わりに1分ほど指で脚を押さえるリハビリで歩けるようになりました。

とても早く歩きますが、それはチョロQのようで、他のヒナとは少し違う感じです。他のヒナより一回り小さく、弱弱しい・・・・・

 

6号 1日生まれ 入卵日 9/12・・・20日目での孵化

ヒメウズラ/きらら舎

9:33

 

 

7号 入卵日 9/13・・・19日目での孵化

ヒメウズラ/きらら舎

10:17

卵の中でヒナが育つと、頭は卵の鈍端部のほうにあります。そして鈍端部にある気室とヒナのいる部屋を仕切る内殻膜という膜をつついて破り、鈍端部の空気を吸い、肺呼吸が始まります。

その後、卵の殻を一周するように嘴でつついて穴を開けていきます。

だから、卵は鈍端部が下にならないように置かなくてはなりません。

大きな孵卵器では仕切り板との隙間に多少余裕があり、横に転がって転卵をしていましたので、卵は尖端部と鈍端部は水平になっていたと思います。

しかし、凹みに卵を置くタイプの孵卵器では、何かのはずみで(他の孵化した卵殻を除去する時など)鈍端部が下向きになってしまったのかもしれません。

出づらそうでしたが、なんとか無事に孵りました。

 

8号 入卵日 9/13・・・19日目での孵化

ヒメウズラ/きらら舎

ヒメウズラ/きらら舎

ヒメウズラ/きらら舎

10:55

 

以降の様子は「ヒメウズラ 成長記録1」へ続きます。

Categories: 生物・植物室

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かよこ さとう ()

Website: https://kirara-sha.com/

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