ペットショップでは売っていない生物を飼うのはとても楽しいことです。
専用の餌もなければ、飼育方法も確立されていません。
大変ではありますが、いろいろ試行錯誤・実験しながら、たくさん失敗もして、やがて、その生物を飼育することができるようになります。
そんな生物の中で、おすすめなのがサカサクラゲ。
ミズクラゲやタコクラゲみたいに、動きがなくて、あまり可愛くもないかもしれませんが・・・・・
クラゲ初心者には一番飼いやすいクラゲです。
さらに、クラゲと一口に言っても実際にはいろいろな時期があります。
「生活史」といわれています。人間でいえば「一生」というような意味で使われます。
「人間の一生」というと生まれてから死ぬまでの1本の道で表すことができます。
しかし、クラゲは無性生殖で殖えるポリプ時代とクラゲ成体(メドゥーサ)の時代、プラヌラ幼生やプラヌロイドの時期があります。
無性生殖で殖えたポリプからクラゲが出て、やがて有性生殖をして卵を残して死んでいく。卵はプラヌラ幼生となって泳ぎだす。
プラヌラ幼生は岩に固着してポリプになる。
ポリプからエフィラが出て、成長してクラゲになる。
しかし、死にそうな塊からまたポリプが出たり、ポリプの時代を飛ばしてクラゲになったり・・・・・。
人間のように一本道ではなく、いろいろな道があるので、「生活史」というのです。
(1)サカサクラゲについて調べてみよう
クラゲの分類を書いておきましょう。
図鑑で「綱」「目」「属」「科」を調べます。
サカサクラゲは鉢虫綱根口クラゲ目のクラゲです。
鉢虫綱根口クラゲ目にはサカサクラゲのほかに、タコクラゲ、エチゼンクラゲなどがいます。
エチゼンクラゲとタコクラゲの「ポリプの形」や「クラゲの出方」を調べてみることができれば、サカサクラゲと同じであることがわかります。
「根口クラゲ」の「根口」ってどんな意味なのかも合わせて調べてみてください(どうしてもわからなかったらメールでご質問ください)。
学名も書いておきましょう。学名というのは、世界中で共通の、その生物の名前です。
サカサクラゲの学名は、「 Cassiopea ornata」。
夜空の星座「カシオペア」の名前が使われています。
それはなぜか・・・昔のブログに書いた記憶がありますが、サカサクラゲが逆さまになっている姿と、カシオペアが夜空を回る姿が同じなんです・・・・・ギリシア神話なども合わせて調べてみると面白いです。
これについてもわからなかったらメールでご質問ください。
また、サカサクラゲは褐虫藻という藻を体内に共生させています。褐虫藻は光合成をして作った栄養分をサカサクラゲに還元します。そのため、サカサクラゲは褐虫藻により多くの光があたるように、逆さまになっているといわれています。
サカサクラゲの生息地を本で調べてみよう。
行ける方は温かい地方の港やテトラポッドのあるところへでかけて、サカサクラゲを探してみましょう。
(2)ポリプを飼う
クラゲの飼育方法は「サカサクラゲ」というページにまとめてありますので、そちらを参照してください。
飼育方法をまとめてみましょう。文字で書くのはめんどうだし、研究発表の時には文字より映像で見せるほうが効果があります。そこで、飼育の様子を撮影して、その写真の説明を書いていくようにします。
餌であるブラインシュリンプの説明、ブラインシュリンプを孵化させるところ(海水であることと一定の温度が必要なことも)、与え方など・・・・・
ポリプの写真も撮影してみましょう。
はぐれポリプ(サンゴなどの基質に付着していないポリプ)をシャーレに入れて、モバイル顕微鏡で撮影するとベストです。
(3)クラゲへの変化をまとめる
ポリプは夏休みであれば、頻繁にクラゲを出すでしょう。
クラゲを出すというのは、ポリプの先が変形してきて、クラゲの形になり、やがて拍動を始めて遊離するのです。
これを毎日撮影して、観察日記とします。
触手が退化する様子や、クラゲが遊離してから、またポリプに戻ったところなどまで、合わせて撮影して記録しましょう。
(4)エフィラを飼育する
エフィラの飼育方法は「サカサクラゲ」というページと「サカサクラゲエフィラ飼育」というページにまとめてありますので、そちらを参照してください。
エフィラも、スポイトでシャーレに移して(海水の水滴に1匹を入れる)モバイル顕微鏡で撮影すると細部まではっきりと撮影することができます。
エフィラの体の各部分の名称などを調べて図で書いても面白いです。
エフィラは成長すると傘の周りのギザギザがなくなってきて、口腕も大きくなってきます。そんな成長もまとめられるとよいですね。
毎年、夏休みには夏期講習としてカフェでいろいろなワークショップを自由研究用に行っています。
2022年からはリモートにも力を入れていきたいと思います。
先述のエフィラのイラスト(体の部位名称がわかる図)もこの時に描きます。
夏休みだけの俄か飼育ではなく、できれば一年を通して飼育観察したものをまとめられると素晴らしいレポートになると思います。
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